ゲーム用液晶モニタの敵 テアリングとスタッタリングをやっつけろ!

液晶モニタ

最近ユーザー数を伸ばしているパソコンゲームの魅力は何と言ってもその画質の高さにあります。

パソコンのCPUの成長は頭打ちと言われることもありますが、グラフィック性能はますます向上を遂げています。

最新ゲームを高画質で楽しむためグラフィックボードを更新された方もいらっしゃるかと思いますが、その高機能化により発生した二つの問題について学んでおく必要があります。

二つの問題とはテアリングとスタッタリングです。

ここではテアリングとスタッタリングの原因についてと、最新の液晶モニタに搭載されている画期的な解決方法について解説します。

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テアリングとは

テアリングとは、グラフィックボードの描画タイミングと液晶モニタの描画タイミングが合わずに、描画途中の画像をモニタに表示してしまう現象のことです。

テアリングの原因

一般的なモニタのリフレッシュレートは1秒回に60回の描画を行う60Hzです。

これに対し、グラフィックボードはエフェクトや、オブジェクトの多い画像には計算能力を多く必要とするため、描画速度が遅くなり、その逆の場合には早くなります。

この計算量は描画内容により大きく変わるため、描画速度を表すフレームレートもゲーム途中で随時変化しています。

またグラフィックボードは、描画した画像を保存するバッファ領域を持っており、モニタへはリフレッシュレートごとに画像データを送信しています。

ここで、グラフィックボードのフレームレートと液晶モニタのリフレッシュレートに差が生じると、バッファ内に一度描画された画像が、モニタへ送信される前に次のフレームの描画が始まってしまったり、描画が終わっていないのにモニタへ送信されてしまったりします。

この場合、モニタへ送るタイミングでは書きかけの画像を送信してしまうと言う事が発生します。

この現象をテアリングと呼びます。

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テアリングの対策方法

テアリングの発生は、グラフィックボードの描画のタイミングと、液晶モニタのリフレッシュレートのずれが原因ですので、このタイミングを強制的に合わせるとテアリングを抑える事が出来ます。

このタイミングを合わせる行為を垂直同期と呼びます。

垂直同期

垂直同期とは、グラフィックボードの描画タイミングとモニタのリフレッシュレートを合わせる機能で、V-syncとも呼びます。

垂直同期は機能をオンにすると、グラフィックボードの描画はリフレッシュレートに合わせて行われます。

バッファからモニタに画像データが送信されると、次の描画が開始され、描画が完了しても次にモニタにデータを送信するまでは次のデータを描画しません。

詰まり、グラフィックボードがモニタの表示タイミングを待つことになります。

スタッタリング

垂直同期を行う事で、テアリングを防ぐことが出来ますが、グラフィックボードのフレームレットがリフレッシュレートに追いつかなかったときにはスタッタリングと言う現象が派生します。

例えば、リフレッシュレートが60Hzの場合、グラフィックボードの描画に1/60秒以上の時間がかかると、モニタの画面を書き換える事が出来ません。

この場合、さらに1/60秒が経過して次の描画タイミングが来ないとモニタの画像は書き換えられないため、静止画一コマの表示時間が1/30秒に達してしまいます。

これはリフレッシュレート60Hzの動画の間に30Hzの動画が一瞬挟み込まれたような状態であり、目視でもはっきりわかるレベルの動画のカクツキとなります。

スタッタリングの解決方法

Adaptive V-sync

スタッタリングとテアリングを同時に解決する方法としてグラフィックボードメーカーのNVIDIAが開発したのがAdaptive V-syncですAdaptive V-syncとは、液晶モニタのリフレッシュレートよりもグラフィックボードのフレームレートが高い場合はV-syncをオンに、そうでない場合はオフに、自動的に切り替える技術です。

この機能を用いると、フレームレートが高い場合にはリフレッシュレートごとに描画が完成した画像を表示し、フレームレートが低い場合だけ描画しかけのデータを表示して、スタッタリングを起こしながらも動画のカクツキは防ぐ事が出来ます。

液晶モニタに依存せずスタッタリングとテアリングに対処できる方法として、まずはこの機能を使用されることをおすすめします。

G-sync

Adaptive V-syncはテアリングとスタッタリングの両者の対策となりますが、高付加時のテアリングを防ぐことはできませんでした。

そこで登場したのが同じくNVIDIAの開発したG-syncと言う技術です。

ここまでの動画技術では、グラフィックボードとモニタのタイミングの違いについて、グラフィックボード側がモニタに合わせて描画を制御していましたが、G-syncでは全く逆の発想となりました。

モニタを改良して、グラフィックボードの描画タイミングに合わせてモニタ表示を行う、表示速度可変機能を持たせたのです。

描画速度の上限は液晶モニタのリフレッシュレートとなりますが、重い描画に関してはグラフィックボードが描画を追えるタイミングに応じて自由にモニタ表示を書き換える事が可能になったのです。

これにより、G-syncを用いれば、駅量モニタとグラフィックボードのどちらがボトルネックになった場合でもスタッタリングとテアリングを完全になくして、グラフィックボードと液晶モニタ双方の機能をフルに発揮できる様になりました。

G-syncを用いるには液晶モニタ側をコントロールする必要があるため、グラフィックボードだけでなく液晶モニタもG-sync対応である必要があります。

G-syncを達成するためには、グラフィックボードの信号と、モニタの表示タイミング調整の仲介を行うG-syncボードを実装しなければならないためです。

ただし、この仲介を行うG-syncボードの信号処理にも一定の時間が必要で、NVIDIAのライバルメーカーであるAMDからは、G-syncを用いる事で表示遅延が生じるとの指摘がされている事にも注意が必要です。

また、本当に必要かどうかはさておいて、G-syncボードの通信帯域ではリフレッシュレートが144Hzを超えるモニタへの対応は出来ないとの話もあります。

一方、次に説明するAMDのFreeSyncでは特殊なハードウェアを使用しないため、このような遅延は発生しないとされています。

FreeSyncとAdaptive-Sync

NVIDIAが開発したG-syncに対して、グラフィックボードの競合メーカーであるAMDが開発したのがFreeSyncです。

動作原理はG-syncと大きな違いはなく、グラフィックボードの描画タイミングに合わせて描画を行う事でテアリングとスタッタリングを防止しています。

FreeSyncとG-syncのもっとも大きな違いは、G-syncはブラックボックスともいえる、G-syncボードを液晶モニタに搭載して通信の仲介を行いますが、FreeSyncではそのようなカードは不要です。

業界団体が決定したオープンな規格に基づいて画像データの送信とリフレッシュレートの制御を行いますので、FreeSync対応のモニタはG-sync対応モニタよりも安価に販売されています。

Adaptive-Syncは、FreeSyncの元になった画像表示規格で、Adaptiv-Syncの仕様を満足した一規格としてFreeSyncが存在すると言う関係に当たります。

まとめ

PC向けのグラフィック機能は依然として日進月歩の速さで進化しています。

今回ご紹介したG-syncやFreeSyncではこれまでなかった様なパソコンと液晶モニタの協調した画像表現を実現しています。

ただし、これらの高い機能を十分に発揮するためには、さまざまな対応規格などの条件をクリアする必要が出てきました。

この記事を読んで、せっかく買った最新機器の性能を少しでも生かしていただければ幸いです。






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