adobe illustratorの文字表現機能

2016年7月25日デジ絵ソフトウエア, 全件

文字

MS Wordなどのワードプロセッサで文章を書いている方が多いと思いますが、ワードプロセッサの大部分が欧文環境をベースとして作られたアプリです。

つまり、元々日本語環境を前提として開発されていません。

illustratorも同様に欧文環境で作られましたが、ワードプロセッサとは比べものにならないほど高いレベルの文字表現機能が搭載されています。

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ワードプロセッサの社会的役割

デザインの現場だけでなく、オフィスワークまで、デジタルでの作業に移行し始めた頃、ワードプロセッサが大活躍し、社会的な役割は非常に高いものがありました。

今でもMS Wordなどのワードプロセッサで文章を書いている方が多いと思いますが、ただ文字を入力してするだけのアプリにはWeb用のライティング機能を持たせたエディタなどフリーウェアでもたくさんあります。

ワードプロセッサにもさまざまな機能が追加されてきましたが、根本的な問題があります。

それは段落—行送りに縛られてレイアウトの自由度が低いこと、テキストボックスのサイズを決めるのではなく、マージンを決める手順、日本語環境を前提として作られていないことなどたくさんあります。

その対策としてテンプレートで解決するという方法がとられていますが、美しく組まれたテンプレートはなかなかありません。

専門家がそれらのテンプレートを作っていないと言うより、専門家が使わないからです。

このように自由なレイアウトができないワードプロセッサはすでに社会的な役割は終わっていると思われます。

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文字と文字組の違い

そもそも和文文字と欧文文字とでは、根本的に構造から違います。

和欧の文字組で最も違うのは行末です。

和文文字は正方形の仮想ボディを基にその中に文字がデザインされて作られています。

扱われる文字種の多様性もあります。

日本語には「禁則」もあり、両端をそろえるのは手動ではなかなか難しいのですが、illustratorの「ジャスティファイ」の機能を使えばテキストボックスできれいに両端をそろえた文字組ができます。

欧文文字は水平方向の仮想構造線5本で作られ、その間隔も自由です。

さらに欧文は長さがまちまちな単語が並びます。

ハイフンを使わない場合、オーバーフローしたら強制的に改行されますから、「左揃えで行末はその行次第」という文字組を使う場合が多いのです。

日本のデザインの現場でデジタルワーク導入が遅れたのは、欧文環境をベースとして作られたアプリで日本語環境、美しい「日本語組版」ができないというのが理由でした。

私はillustrator ver.1.8から使っていますが、当時、版下を出力するだけでかなり手間のかかる工夫をしていたことを思い出します。

illustratorの機能

現在、最も文字表現機能が優れているアプリといえば、書籍や雑誌制作などに使われているAdobe InDesignでしょうが、クリエイティブ・スイーツへのアップデートで、デジタルワークが始まる前に使われていた電算写植機の機能を再現するべく日本語用に特別に開発されたアプリで、多言語と切り離されて独自に開発された経緯をもっています(大日本スクリーンとの共同開発を改めて行い、発売が日本語版だけ半年以上遅れました)。

ただし、これは機能が高すぎて、本当の機能を使うには「日本語組版」についての深い知識が求められます。

ちょっと敷居が高い感じです。

しかし、illustratorでは主要な機能は移植されていますが、絵を描くためのソフトとしての自由度が残されています。

文字ツールで自由にクリックして文字が入力でき、その文、文章をドラッグで自由に移動して、配置できます。

テキストボックスでキチンと文字組もできます。

さらにその場でイラストを描いて加えたり、段落、行送りで縛られるワードプロセッサと違い、自由さを楽しみながらレイアウトできます。

仕事でも、趣味でも、ワードプロセッサではできない表現レベルを求める方、楽しさをもちながら、伝わるレイアウト、デザインを求める方に是非、おすすめしたいアプリケーションです。

まとめ

“illustratorは難しい”とよく聞きます。

しかし基本概念と主要なツールの理解ができればそれほど難しいアプリではありません。

近年タッチパネル用と考えられるツールが続々追加され、機能の多重なども起きて使い慣れている人には混乱が起きることがありますが、これから始める人にとってはよりわかりやすくなっているともいえます。

簡単なトレーニングと情報作成の基礎知識があれば、言われているほど難しくはありません。






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