ペンタブレットで漫画イラストを描きたいとき、適したソフトと不向きなソフトは何か

板タブ(ペンタブレット)

CLIP STUDIO PAINT PRO

ネットで漫画イラストを見かけて、自分も描いてみたいと思う人は多いでしょう。

また、紙にシャープペンで落書きするならできるけれど、見栄えの良い絵に加工するにはどうすればよいかと考える絵描きさんも多いと思います。

そこでペンタブレットを紹介される流れも耳にしますが、使い勝手がイメージしにくいかもしれません。

タブレットPCとは異なるものなのでしょうか。

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ペンタブレットの用途

市販されているペンタブレット商品を見ると、大きく分けて2つの用途が紹介されています。

それは、「写真加工をすること」「漫画イラストを描くこと」の2つ。

もちろん画像加工としてそれ以外の事だって十分できるのですが、メーカーや販売側がこの2つの用途を大きくクローズアップして紹介しているのです。

ということはつまり、写真加工あるいは漫画イラストを描くためにペンタブレットを購入する人の割合が高いことを表しているといえるでしょう。

漫画イラストに特化したソフトを使う必要性

では、どのようなソフトが漫画イラストに向いているのでしょうか。

ペンタブレットを購入すると、描画ソフトの体験版や、ソフトの古いバージョンが付属していることが多く見られます。

ただ、付属ソフトが3つも4つも揃っていることもあり、どれが適しているか選ぶのは初心者には難しいかもしれません。

いくつか、よく使われるソフトを見ていきましょう。

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画像加工ソフト「フォトショップ(Photoshop)」はペンタブレットでの描画に向いているか

実はフォトショップは、「塗る」ことならともかく、ペンタブレットで「線画を描く」ことには必ずしも向いていません。

フォトショップは、あくまで既存の画像や撮影した生の写真を加工するためのソフトです。

何もないところから絵を描くために開発されたソフトという訳ではないのです。

フォトショップに適した作業は、色塗り以降

描画に使っている人も大勢いますが、線画は別のソフトや手書きで描いておいて、フォトショップは彩色や濃淡の調整にのみ使うという場合が多いようです。

もちろん線画を描画するために使っている人だっているでしょうが、やはり他の描画に特化したソフトの性能には劣ってしまうのが現実です。

例えばフォトショップの場合、筆圧検知の機能が荒いのが特徴。

漫画などに使われる線画にとって手痛いデメリット。

つまり、線画は、力の入れ具合によって線の強弱(太いか細いか)が違ってきます。

わざと太い・細いのメリハリをつけることで線画に迫力や実体感を持たせて単調でなくする効果があります。

しかし、フォトショップではその表現を出しにくいのです。

毛筆でたとえて言うならば、「止め」はできるが「撥ね」と「払い」が描けないといったところでしょう。

線の表現に制限が加わってしまい、一旦描かれた線に加工をして「撥ね」と「払い」の表現を付け加えるといった手間も発生してしまいます。

「フォトショップ」以外のソフトの特徴は

フォトショップは、写真を加工するには高性能を誇るソフトで、イラストの色塗りもできるのですが、線画を描くにはあまり向いていません。

ではどのソフトが線画を描くに当たって強みがあるのでしょうか。

フォトショップエレメンツ(Photoshop Elements)は何ができるか

ペンタブレットを購入すると付属しているソフトのうち、最も有名なのがフォトショップエレメンツではないでしょうか。

フォトショップの機能のうち、よく使われる機能だけを抜粋したソフトです。

フォトショップ本体が7~8万円するところ、フォトショップエレメンツならば16000円程度と比較的安価なので、こちらを購入する人も多いようです。

しかし、フォトショップエレメンツこそ写真加工に特化したソフトであることに注意が必要です。

何もない画面にいきなり線を描くといったことは、できるにはできますが機能が貧弱なので、漫画制作のためにはおすすめはできません。

線画を描くならクリップスタジオが有名どころ

CLIP STUDIO PAINT PRO

ではどういったソフトウェアが、ペンタブレットでの描画に適しているのでしょうか。

つまり、「ペンタブレットで漫画・アニメ風のイラストを描きたい」という人には、どのソフトがおすすめなのでしょうか。

プロの漫画家やイラストレーターに圧倒的なシェアを占めているのが「クリップスタジオ(CLIP STUDIO)」です。

標準的な機能を備えたバージョンでは6000円ちょっとで購入できます。

イラスト向けに特化したペイントソフトであった「イラストスタジオ」と、漫画向けに特化したペイントソフトであった「コミックスタジオ」の後継ソフトであり、2Dアニメーションに対応した後はアニメーション制作向けソフト「RETAS STUDIO」の後継とも位置づけられています。

漫画向けに見栄えの良い、メリハリのある筆圧が描画できるのが特徴です。

更には、ペンタブレットと直接関係ありませんが、漫画に適したコマ割りや吹き出しや効果線といった描画を簡単に行えるツールも備えています。

線画だけならシンプルなソフトSAIもおすすめ

より安価で普及しているソフトといえば「サイ(SAI)」でしょう。

ダウンロードし、プロダクトコードを有償(価格は5000円程度)で入手することで継続して使うことができます。

こちらは漫画を描くツールとしては物足りないかもしれません。

文字を入力する機能や既存の形(オートシェイプ)を描く機能はありません。

線画と色塗りをSAIにてある程度まで進めておいて、その後はフォトショップやクリップスタジオなどで仕上げるという方法が広く使われています。

タブレットPCの普及と液晶ペンタブレット

ところで最近では、iPadに代表されるようなタブレットPCを使い、指先でイラストを描く人も増えてきました。

スマートフォンの普及により「画面を直接指で触れて捜査する」ことが一般的となり、ペンタブレットの「ペン」を使わないで描くという発想も登場し始めたのです。

ペンタブレットとタブレットPCでは、使い勝手が似ているのか、描画にペンが必要なペンタブレットの利点は何か、という点も含めて確認していきましょう。

タブレットPCは液晶ペンタブの代わりとなるか

タブレットPCは、液晶ペンタブレットの代わりとなり得るのでしょうか。

タブレットPCは、通常指でタップすることで操作するものです。

タッチペンも別売りで販売されていますが、ペン先が丸いので細かい線は描きにくいでしょう。

落書き程度の簡易な絵ならともかく、これまで本気で絵を描いてきた方が、新しい道具としてタブレットPCに移るには、慣れと練習が必要です。

iPad ProとApple pencilの組み合わせはペンタブレットの書き味に似ている

しかし、あえて「液晶ペンタブレットと同じような環境で使える」ことを売りにした製品が発売されました。

それが、iPad ProとApple pencilのセットです。

Apple pencilとはiPad用のタッチペン。

ただし、実際のペンのように先端がとがっているのが特徴で、ペンタブレットに描くときの、適度なざらざら感ある描き心地を再現したものです。

「紙に鉛筆で線を描くときの」あるいは「ペンタブレットで描くときの」ような、ペン先の引っ掛かりを再現しています。

タブレットPCにありがちな違和感をなくす目的の製品です。

また、筆先をカスタマイズするためのアプリもあり、描画用のアプリを併用することで、漫画もポスター用イラストも本格的に描けるようです。

まとめ

そもそもペンタブレットはPC入力装置であり、絵を上手に描くためのツールとは言えません。

適切な描画ソフトと併用することで初めて、絵を描くためのツールとなり得るのです。

有名で伝統あるソフトであるフォトショップは、画像加工や色塗りには高性能を発揮しますが、必ずしも線画を描くのに強いソフトではありません。

自分の用途や目的に合わせたソフトを賢く探したいものです。