声優の専門学校を目指す前に知っておいてほしい4つのこと
声優を目指している方や声優という仕事に興味がある方にとって声優の専門学校は目指すべき進路の1つなのではないでしょうか。
では、声優の専門学校に入るためにはどのような準備が必要なのでしょうか。
また、入学するとどのようなことを学ぶことになるのでしょうか。
声優の専門学校について入学するのに必要な情報を紹介していきます。
声優になるための学校とは
声優という職業に就くための進路としてはいくつかあり、専門学校はそのうちの1つです。
では、専門学校を含めて、声優になるためにはどんな方法があるのでしょうか。
また、専門学校とはどのような点が違うのでしょうか。
専門学校
声優の専門学校は、普通の学校と同じく授業を受ける中で声優になるための専門的な知識やスキルを習得していく学校になります。
運営は国から認可を受けた学校法人によるもので、通う人は学生になります。
基礎的な部分から専門的な高度な内容まで時間をかけて段階的に学ぶことができるようになっています。
声優専門の学校から、総合的な専門学校の声優科など様々な進路があります。
授業形態としては月曜から金曜まで週に5日間のカリキュラムを組んでいるところが多く、みっちりと学ぶことができます。
夜間コースを設けている学校もあるため、働きながらでも通うことができる場合もあります。
卒業時には学歴として履歴書などに書くことができ、通う際に奨学金などを借りられる場合もあります。
卒業までは2年間通う学校が多くなっています。
また、2年以上の認可を受けた専門学校を卒業した場合には、専門士の資格がもらえ、大学への編入資格ももらえます。
養成所
声優になるための道としては、声優の養成所に通うという方法もあります。
最大の特徴は、声優プロダクションの直営や声優プロダクションと提携している声優学校だという点です。
ここでは事務所に所属して活躍してくれる声優を自社で育てるためのものになります。
ここに入るということは、そのプロダクションの門下生になるということになります。
卒業に向けて自分で就職先を選ぶ専門学校とは違い、入った時点で自分の進むプロダクションなどが決定します。
教わる形式はレッスンのような形式で、週1~3回程度のレッスンを受け、それ以外は自主トレーニングとなります。
専門学校よりも短時間で、時間帯も選べる場合が多いので、仕事との両立などがしやすくなっています。
ですが、養成所によっては、基礎中の基礎が省かれていたり、ダンスや歌などのレッスンがない場合もあります。
専門学校に比べて、費用が安い場合が多いです。
レッスン時に監督や脚本家が見に来ることもあり、そこで才能を見いだされるとそのままデビューにつながることもあります。
ですが、入った全員がデビューできるわけではなく、契約期間が終わるまでに審査に合格できないと退所となります。
専門学校に通うのに向いている人
専門学校に通う場合、向いているかどうかのポイントがいくつかあります。
まず、どんな声優になりたいのか、どのプロダクションに入りたいのかがまだ決まっていないという人です。
卒業するまで期間があるため、その間に学びながら進みたい道を選ぶことができます。
声優養成所の場合は、運営している声優事務所に入所することが前提となってしまいます。
そのため、進む先が決まっていない場合には専門学校がおすすめです。
また、専門学校の場合には、入学費や学費でまとまった金額が必要となってしまいます。
声優専門学校の入学試験
声優の専門学校でも、他の専門学校と同じく入学試験があります。
この入学試験にもいくつか方法があるので紹介していきます。
一般入試
声優の専門学校に入学しようとしている方の多くが受けることになるのがこの一般入試です。
入試の内容は学校によって異なりますが、書類選考、面接、実技審査、筆記試験、作文などを行う学校が多いです。
傾向としては、筆記試験がない学校も多く、書類選考や面接を取り入れている学校が多くあります。
特に書類選考はほとんどの学校で用意されています。
実技審査では、実際に原稿読みなどを行います。
入学に当たり、体験入学への参加が必須となっている学校もあるので注意が必要です。
推薦入試
その年に高等学校や専門学校、大学、短大を卒業予定の場合に選択できる方法になります。
合格したらその学校に通うことが前提の入試になるため、併願などはできません。
所属する学校から推薦を受けることにより受験できる方法です。
面接や実技テストによる受験となることが多いです。
一般入試よりも先に行われるので、ここで不合格となった場合にもう一度一般入試で受けなおすことも可能です。
AO入試
AO入試では、その学校を第一志望とし、強い入学の意思をもち、学習意欲の高い人を求める入試です。
学校が求める人物像に近い人を見つけるために行われています。
早いものでは6月ごろに合格がもらえます。
人柄を見るための面接重視の試験となり、筆記試験はめったにありません。
早期に合格が決まるため、AO入試合格者専用のセミナーなども開催されることがあります。
その他の入試
それ以外にも、高校によっては指定校推薦をもらえる場合もあります。
その専門学校独特の入試方法がある場合もあります。
例えば、東京アニメ・声優専門学校では、Myスクール特別推薦といった入試方法もあります。
また、社会人の人は社会人専用の入試を受ける場合と、一般入試を受ける場合があるので注意が必要です。
声優専門学校の授業内容
声優の専門学校に入学したら、実際にどのような授業を受けることになるのでしょうか。
声優になるための授業ということで、専門性の高いものも出てきます。
ここでは、多くの専門学校で取り入れられている授業について紹介します。
発声
声の出し方や腹式呼吸、滑舌など、声を出すための基礎的なトレーニングになります。
特に入学して最初の頃には基礎を固めるためにこの授業に力を入れることになります。
身体訓練
力のある声をしっかりと出すことができるようになるためにトレーニングを行います。
スポーツを行うためのトレーニングとは違い、負荷は軽いものになっています。
スポーツなどを行うのではなく、腹筋やそれをしながらの声出しなど、発声に関係するものになっています。
朗読
セリフの朗読を通して、発声方法や滑舌の確認、表現方法などを学びます。
ただ台本に書かれた文字を読むのではなく、それをセリフに変える方法を学んでいくことになります。
また、文章の読解能力を高め、相手にどのようにすれば伝わるかを学ぶという面もあります。
演技・表現
声優は声で人物や動物を演じることになります。
そのため、感情表現や演技を学ぶことになります。
即興で演技を行うエチュード形式で行われることが多いです。
発声や朗読と共に力が入れられる内容になります。
アフレコ
実際にマイクの前に立ち、アニメなどのアフレコを行います。
アフレコ技術は当然ながら、作品への理解力や役作りも同時に学ぶことになります。
声優の実践に近い授業となります。
ボイストレーニング
最近では声優の仕事としてCDデビューしたり、コンサートを開く場合もあり、そのため力を入れるようになった授業になります。
学校によっては選択形式の場合もあります。
ダンス
ボイストレーニングと同じく、最近になって力が入れられるようになった授業の1つです。
アニソンなどを歌って踊れるようになるように育てるための授業です。
卒業後に所属する事務所によっては、声優だけではなく歌手としてデビューできる場合もあり、可能性を広めることになります。
学校によってはモダンダンスだけではなく、クラシックバレエなどを取り入れている場合もあります。
また、礼儀作法や立ち振る舞いを学ぶために、日舞を取り入れている学校もあります。
ナレーション
ナレーターにとって必須となるアクセントやイントネーションを学びます。
なまりやくせを矯正し、正しい日本語を学ぶことになります。
学校によっては「はなしことば検定」を受ける場合もあります。
その他
それ以外にも学校によっては、演技力や声優として必要なスキルを磨くために、殺陣やパントマイム、紙芝居、作品研究、ラジオ番組制作などについて学ぶ場合もあります。
こういった学校によって変わる特別な授業は、学校を選ぶ際のポイントにもなります。
声優専門学校の卒業後の進路
声優の専門学校を卒業した場合、どういった進路があるのでしょうか。
卒業生のうち、どれくらい声優になれるのでしょうか。
また、声優をあきらめた場合には、どういった進路に進むことになるのでしょうか。
声優としてデビューする
声優の専門学校に通う人たちにとって最も理想的な進路は、卒業後に声優事務所に所属し、声優としてデビューすることでしょう。
ですが、すべての人がデビューできるというわけではありません。
所属する学校やその年度によって変わってきますが、卒業後にそのまま声優としてデビューできるのは、5%から75%ほどだといわれています。
声優のデビュー率が最も高いとされているアミューズメントメディア総合学院では、2018年度の卒業生の声優事務所への所属率は73.8%となっています。
逆に、ほとんど声優事務所に所属できない学校もあります。
声優の専門学校は需要が高まっているために、増えすぎたためです。
そのため、事務所に所属しやすくするためにも、公表されている事務所への所属率が高い学校を選ぶことが大切になってきます。
声優養成所に通う
声優の専門学校を卒業した人が最も多く選ぶことになる選択肢になります。
養成所は、先にも紹介したように声優事務所が運営する声優の養成機関です。
卒業後すぐにはデビューできませんが、そこから声優としてデビューを勝ち取るという人もいます。
実際に現在活躍している声優の中にも、声優の専門学校卒業後、養成所に通い、そこからデビューを勝ち取った人もたくさんいます。
また、養成所に入った後も、基礎的な部分は学習済みということで、特待生扱いからスタートとなる場合が多くなっています。
オーディションなどを勝ち取る必要はありますが、声優としてデビューする道は残された進路になります。
一般企業への就職
声優養成所について紹介しましたが、それでもすべての人が入所できるわけではありません。
どの養成所にも入所試験があり、不合格となった場合には、個人的にオーディションを受けるか、一般企業への就職となってしまいます。
専門学校によっては、声優の道をあきらめることになってしまった学生のために、声優に関しての授業と並行して、簿記の資格などを得られるようにしている学校もあります。
就職率に関しては、多くの学生が声優事務所か声優養成所への所属になるため、発表していない学校がほとんどです。
ですが、一般への就職のためのサポートを行っている学校は就職率もある程度高いと予想されます。
声優になれなかった場合も考えて、就職サポートの厚い学校を選ぶのも学校選択のポイントになります。
まとめ
声優の専門学校は、声優を目指すにあたっては選択肢の1つになります。
ですが、その専門学校は学校ごとに特殊な授業があったり、就職率が違ったりなど色々あります。
声優という仕事は、目指したからと言ってすべての人がなれる仕事ではありません。
そのため、自分に合った学校を探し、確実に力を付けていくことが大切です。
ぜひ自分に合った学校を見つけて、声優への道を掴んでください。
参考URL・参考文献・根拠など
https://www.pac-ac.jp/_.html
https://tmaa.ac.jp/
https://www.d-cs.jp/debut/
https://www.anime.ac.jp/
https://www.pac-ac.jp/lecturer.html