液タブ・iPad Proにモニタアームは取り付けられるのか?
液晶ペンタブレットを使用している人で、もっとも多く聞かれるのが「ワークスペースが狭くなった・なくなった」「姿勢がつらい」…との声。
DIYで本体を机に埋め込む・キーボードやマウスの置き場所を工夫して対応しているなどといった苦心惨憺がみられますが、「いっそペンタブをモニタアームに着けられたら」と思ったことはないでしょうか。
ここでは、液タブをなんとかアームにとりつけてみる方法を考えてみます。
液タブをアームに乗せる利点
漫画家・イラストレーターの制作環境を見ると、液晶ペンタブレットをモニタアームに取り付けている例が多くみられます。
しかし、実際はかなり難しいのが現状。
対応しているのはCintiq/27QHDのみ
表題の通り、VESAマウント規格搭載の液晶ペンタブレットは、ワコムの最上位モデルであるCintipの27インチ1機種になります。
下位の機種を含めて、他社製のモニタアームを自由に取り付けできる液タブは存在しません。
しかし、該当機種は時価27万円とかなりの高価格。
所有者もかなり絞り込まれるかと思います。
それでも液タブをアームに乗せる理由/利点
本体購入の際に下調べした時点でご存知かとおもいますが、ほとんどの液タブ製品にスタンドがついており、一見すると作業に問題がないように思います。
しかし実際に置いてみると、机上が液タブ本体で占領されるため、他の作業をする・紙媒体の資料を参照しながら創作活動をする…ということが難しくなります。
デッドスペースが広がるというデメリットもあるでしょう。
加えて、漫画家・イラストレーターの職業病ともいえる「肩こり」「腰痛」のリスクも、考慮しなければいけませんん。
なにもリスクはこればかりではなく、エコノミークラス症候群や尿道結石などの体験談もあります。
こういった病気を防ぐには、「立ち仕事」が一番良いのだとか。
「君の名は。」の制作に関わっているプロアニメーターは、作業場に椅子を置いていないことでも知られています。
まとめると、ワークスペースの確保・健康維持のためにも、出来ればアームなどを活用して「液タブを自由に動かせる」環境を作ったほうが良いということです。
では、お手持ちの製品をどのように工夫すればよいのでしょうか。
VESAマウント非対応の液タブ/iPad Proについて
VESAマウント規格をクリアしなければ、お好みのモニタアームを取り付けることができません。
しかし、あきらめるのは尚早でしょう。
マウントトレーは使える?
サンワサプライ・上海問屋が中心となって売り出しているのが「マウントトレー」。
ノートPCやタブレットを載せられる台になっており、裏面がVESAマウント規格に対応・モニタアームへの接続が可能となっています。
実際に使用しているクリエイターも多く、おすすめの製品になりますが…注意しておきたいことがいくつか。
まず、あくまでもトレー、つまり積載台であるため、固定用の器具はありません。
楽譜台をイメージしてもらえばいいかと存じますが、液タブを前傾したときに滑り落ちないよう固定する「すべり止め」のみの製品が大半です。
アームの操作やちょっとした揺れなどで、積載している液タブが落ちてしまう可能性があります。
もう少し固定力のいい製品も存在しますが、トレー上部から挟み込むような形のものになるため、液タブのサイズが限られてきます。
アマゾンで確認できる商品を見てみると、~12インチまでの対応のみとなっており、大型の液タブで使用するのは難しいでしょう。
そこでさらに調査してみたところ、製品シェアNo.1であるエルゴトロン社から、ノートPC用のモニタアームが発売されているようです。
こちらは積載するマシンのサイズを特に選ばず、すべり止め加工が施されているので、万一のときでも安心できそうです。
ただし、価格が35000円前後とやや高価になるのが、ネックといったところでしょうか。
iPad Proをアームに乗せるなら
液タブに変わる新しいお絵かきツールとして注目を浴びている、iPad Pro(12.9インチ)。
コンパクトとは言えA4サイズのノート程度の大きさがあるので、やはり机上に置くとかさばります。
こちらをアームに乗せる場合の諸注意ですが、充電時のコードをどうまとめるか…が第一の焦点になるでしょう。
筆者がおすすめしたいのは、iOS端末を無線充電可能にするマットです。
本体の充電端子を塞いでしまう為、アップルペンシルの充電ができない…と思いがちですが、ここもご心配なく。
ペンシルをPCなどに接続して充電できるコードが1000円程度で販売されているので、一緒に購入するのがベスト。
残る問題は、本体を縦横に傾けることができないという点です。
これについては情報をあたってみたものの、12.9インチ用のマウントトレーはいずれも横置きのみ対応/タブレット用アームにおいてはそもそも12.9インチ対応機種が販売されていない…ということで、解決は難しそうです。
DIYしてみよう
SNSサイトを見てみると、稀に「VESAマウント規格非対応機種を、DIYでモニタアームにセッティングする」という方法が流れてきます。
液タブ本体裏面に、規格に沿ってねじ穴をあける→マウントにセッティングするという方法だそうですが…製品の保証対象外となりうるので、できれば避けたいところでしょう。
そこでいくつかの液タブ製品を見てみたのですが、ワコムの古い機種・海外製の格安液タブ製品だと、裏面全体が排気パネルになっていることが多いようです。
排気パネルの穴にモニタアームのマウント部分をネジで固定、ぐらつきがないか確認をしてから使用している…という人も、いるのだとか。
確かにこの方法であれば本体を傷つけることがないので、心配なさそうですね。
しかし、やはり考えたいことがあるので、最後に述べたいと思います。
アーム使用時に注意すべき点
前項の続きになりますが、古い機種・海外製格安液タブ問わず、背面は排気パネルや冷却機構になっていることがほとんどですノートPC用マウントを使用する際は特に注意してほしいのですが、使用中に本体が熱暴走してしまう可能性が考えられます。
きちんと排気できているかどうか確認の上、使用することをおすすめします。
加えて、モニタアーム自体もよく選ぶべきでしょう。
2軸・3軸アームは固定力が高い代わりに、動かせる角度が決まっているという弱点があります。
モニタアームで最も利便性が高いとされているのは4軸ですが、安かろう・悪かろうで、耐荷重量に問題があることも。
予算としては2~4万程度を想定して、しっかりとした製品を選ぶのがポイントです。
少し前に触れたエルゴトロン社製のアームは、医療現場でも使われているほどの耐久性・信頼があるので、是非このメーカーで検討していただきたいものです。
残る問題は、地震などへの備えでしょう。
小型の液タブで・ネジでの固定ではなくマウント台を使用している場合は、使用後に液タブを収納する場所を設けるのがベスト。
高層階にお住まいのかた・お子様がいらっしゃるご家庭などでは、気を付けたほうがよさそうです。
まとめ
にわかに人気が出ているiPad Proも含めて、液タブとモニタアームを組み合わせる方法を考えてみました。
結論を述べると、メーカー側の対応が待たれる状況にあるのは否めません。
ノートPCやタブレット用のマウント台で代用するのがメジャーなようですが、不安を感じるクリエイターも少なくないようです。
この記事でもし新しい発想が生まれたら、是非披露していただきたいと存じます。