電源が入らない!液晶モニタを自分で修理してみた結果
液晶モニタの電源ボタンを押しても全く反応がない、そんな経験はないでしょうか。
18000円程度で購入したIPSパネルがたった4年で、そんな事になったら頭を抱えてしまう人がほとんどでしょう。
とはいえ液晶モニタを修理に出すと見積りの時点で、目の眩むような金額を提示されます。
私は意を決して、自分で液晶モニタを修理してみることにしました。
今回は、その時の体験談を紹介したいと思います。
液晶モニタに現れた症状
冬のある日、コンピューターに電源を入れると、液晶モニタの電源ランプがピンク色に点灯していました。
その後、液晶モニタの電源ランプが全く点灯しなくなりました。
いくら電源スイッチを押しても、液晶モニタに何も映らない状態です。
ちなみに故障した液晶モニタは、ASUSの23型モデルです。
故障部位の特定
液晶モニタに限らず電化製品が故障した場合、まずやるべきなのが故障部位の切り分けと特定です。
精密機器故障の90%は、スイッチ部位の接点不良、ハンダのクラック割れ、電解コンデンサの不良のどれかです。
意外にも、LSI部分の故障は1割もありません。
ただ、液晶モニタの場合、頻繁に動かしたりするものではありません。
よって、スイッチ部分の破損やハンダのクラック割れは考えにくいと思いました。
そうなると電解コンデンサの故障が一番疑わしいですよね。
コンデンサの寿命はどれくらいあるのか
コンデンサの寿命は、一概には言えません。
しかし、周囲の温度が高い状態で、周辺温度が10℃上がると、寿命は半分になると言われています。
これを「10℃2倍速」の法則と言います。
例えば、100℃/2000時間という寿命のコンデンサを90℃で使用できれば、予測寿命は4000時間まで伸びます。
80℃で使用できれば8000時間まで使用できる計算になります。
したがって、温度の高い状況で使用すると4〜5年で寿命を迎えるコンデンサも出てくるそうです。
思えば私のモニタも使用し始めてから4年を経過していました。
しかも夏は、30℃を超えるような環境で使用していたのです。
このような使用環境もコンデンサの寿命を縮める要因になったのかも知れません。
修理するために、どのような道具がいるのか
修理するために必要な器具は、半田コテセットと電解コンデンサです。
半田コテセットは、900円程度の安価な製品をAmazonで注文しました。
半田コテ本体と吸取線、ハンダ、スタンドがセットになったものです。
次に必要だったのが、電解コンデンサです。
しかし、電解コンデンサは、家電量販店で販売されていませんでした。
量販店の人の聞くと、近所のパーツ屋さんで購入できると教えてもらいました。
そこでようやく電解コンデンサを入手することができました。
こうしてみると電解コンデンサの外観は、缶ビールに似ていますね。
さて、購入した電解コンデンサは、4.7μF(100V)、100μF(50V)、47μF(35V)です。
「μF」は、マイクロファラッドの略です。
一袋に2~4個のコンデンサが入っています。
一袋あたりの値段は、100円から150円です。
3種類のコンデンサを購入したので、代金は、合計で400円程度でした。
あとは、百均ショップで取り付け後にコンデンサの足を切るニッパーを購入しました。
これで、とりあえず修理に必要な器具や部品を揃える事が出来ました。
実際に修理してみる
今回の故障は、電源が入らないという症状でした。
まず考えたのは、電源基盤のコンデンサ不良です。
液漏れや膨張があれば、そのコンデンサを交換すれば症状が改善するかもしれないと考えたのです。
そのためには、筐体を分解し内部を調べないといけません。
ただ、筐体を開けて内部を修理する行為は、メーカー保証の対象外になります。
当然、自己責任になるので、この点だけは注意してください。
まず筐体を分解する
最近の筐体は、ネジを多く使っていません。
表と裏の筐体のかみ合わせで、組み立ててある製品がほとんどです。
私のモニタの場合、土台部分のネジを4か所外したら筐体を分解することができました。
ただし、筐体を分解するには、ちょっとしたコツがいります。
まずネジを取り外したら、液晶モニタの上の部分にマイナスドライバーを挟みこんで、筐体を外していきます。
使用するマイナスドライバーは先端が鋭利で、幅広いものがおすすめです。
この時、液晶部分を傷つけないように注意してください。
ちょっと力がいりますが、ゆっくりやれば大丈夫です。
電源基盤の電解コンデンサを取り外す
筐体を分解し、内部を見てみると大きな基盤が2枚ありました。
基盤はネジではなく、銀箔テープで固定されています。
結構いい加減に感じられますが、ほとんどのディスプレイは、テープで基盤を固定しています。
今回修理するのは、電源の差し込み口がある電源基盤です。
まず、電解コンデンサの液漏れがないか調べてみました。
しかし、液漏れはありません。
次に調べたのは、コンデンサの膨張です。
ただ、そのようなコンデンサもありませんでした。
私は、一旦ここで、思考停止してしまいました。
液漏れや膨張がない以上、他の部分に故障があるのではないかと考えたのです。
しかし、電解コンデンサには、「容量抜け」という症状があります。
これは、外観からは分かりません。
「容量抜け」とは、内部の電解質溶液が時間(約5年から10年)と共に蒸発し、電気的容量が減少する症状です。
私は、この容量抜けの症状を疑ったので電源基盤のすべての電解コンデンサを交換することにしたのです。
電解コンデンサを取り付ける時の注意点
電解コンデンサには、極性というものがあります。
電解コンデンサを見てみると、足の長さが不揃いです。
足の長い方がプラスの端子であり、短い方がマイナスの端子です。
また、電解コンデンサはマイナス端子の方の本体に帯があります。
つまりコンデンサの極性は、足の長さと本体の帯で判断します。
元のコンデンサを取り外す時も、極性をノートに記入するなり、写真に撮るなりしておいたほうがいいでしょう。
取り外した後で、極性を調べるのは難しいからです。
まずコンデンサを取り外す
次に、半田コテと吸取線を使って、コンデンサを取り外していきます。
まず半田コテを十分に加熱します。
次に取り除きたいハンダに吸取線をあて、その上から加熱した半田コテを押しつけます。
すると、吸取線に、溶けたハンダが吸い取られていきます。
ハンダを吸い取る方法は、この要領です。
また、電解コンデンサは足の部分を外側に開いて取り付けられているケースがあります。
その場合、基盤からハンダを吸い取っても、コンデンサを取り外す事が出来ません。
こういうケースでは、外側に開いている足をピンセットやニッパーで中央部分に向かって折り曲げてください。
そうすれば、コンデンサ本体を引っ張って取り外せます。
ちなみにハンダを吸い取った直後のコンデンサは高温です。
素手で触る事は避けたほうがいいでしょう。
また、ハンダを取り扱う時は、メガネを着用した方がいいでしょう。
ハンダが飛んで目に入ってしまっては大変です。
このようにして、一通りコンデンサを取り外したら、次は取り付けです。
コンデンサを取り付ける
前述したように、極性に気をつけてコンデンサを基盤にセットします。
その後、ハンダを半田コテで溶かして、コンデンサを基盤にハンダ付けします。
ハンダが固まったらニッパーで足の部分を切り取ります。
これでコンデンサの取り付けは終了です。
言葉で分かりにくい場合は、動画サイトにハンダ付けの映像がたくさんアップされています。
そのような動画を参考にしてもいいでしょう。
ちなみにコンデンサの極性を逆にして取り付けてしまうと当然動作しません。
最悪、爆発するケースもあるので、十分注意してください。
修理した結果
電源基盤の電解コンデンサを交換し、筐体を閉じ台座に据えた後、電源を投入します。
映ってくれ、との心の願いとともに液晶画面に「windows」のロゴが表示されました。
この時は、思わずガッツポーズをしてしまいました。
自力での修理大成功です。
まとめ
液晶モニタの修理代は、かなり高額になります。
新しいモニタを買った方が、安いくらいです。
結局、修理にも出せないし、新しいモニタを買うお金もない人は、自ら分解し修理するしかありません。
前述したように筐体を分解して、自分で修理するのは、保証の対象外です。
全ては自己責任で行って下さい。
ただし、修理がうまくいった時は、思わずガッツポーズをしてしまうくらいの喜びがあります。
ヤル気のある人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。