モニタの知識ゼロの私がイラスト制作用の液晶モニタを買うまで
私はCGでイラストを描き始めてもう10年以上経ちますが、始めて間もない頃から気づいたことがありました。
それは大画面のモニタで作業できるほど快適なことはないということです。
当時作業していた私のパソコンのモニタは15インチほどで、ノートパソコンでしたのでどうしようもありませんでした。
イラスト制作について知識がある人はお分かりかと思いますが、15インチという画面の小ささは正直イラスト制作には全然向いていません。
そこでもう少し大きな画面で作業したいと思い、液晶モニタを買うことを決意したのですが、私には液晶モニタについての知識はほとんどありませんでした。
商品の説明を見ていても、大きさ以外は分からないことだらけでした。
そこで今回は、同じような悩みを抱えているイラスト描きさんにとって少しでも参考になればと思い、知識ゼロだった私が実際に液晶モニタを買うまでのことを書きたいと思います。
1.大きさはどれくらいがいいか
イラスト制作には、ある程度大きな液晶モニタで作業することが推奨されています。
有名なイラストレーターさんも、顔を覆うような大きな画面で絵を描いている様子を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
それに対して私の作業画面は15インチほどでした。
ノートパソコンとして割と大きめなサイズでしたが、絵を描く環境としては画面が小さすぎました。
その人の好みにももちろん寄りますが、一般的に、画面は20インチ以上あることは最低限必要だと思います。
購入する際に家電量販店でも店員さんに相談しましたが、そう説明され、自分が今までどれだけ小さな画面で作業してきたのかよくわかりました。
ちなみに20インチ前後だと、15インチから5インチの差だし、あまり変わらないかもと思いましたが、それは完全に杞憂でした。
実際に私が購入した液晶モニタは21.5インチですが、画面の広さの違いは描いてみて本当に実感しました。
とにかく作業スペースが広いのです。
快適なことこの上なく、いつもは描きづらかった全身の人物絵も全体を見ることができ、非常に描きやすくなりました。
大きさはとにかく20インチ以上のものを購入するようにしましょう。
2.液晶パネルには種類がある
液晶モニタは皆大きさ以外は大体一緒でしょ?
と思いきや…実は違うのです。
調べてみて驚いたのは、液晶パネルには大きく分けて3つの種類があります。
それぞれ、IPS、VA、TNという種類があり、どのような用途でパソコンを使うことが多いのかによって、どの種類のモニタを買うかを決めることが非常に重要なのです。
では、それぞれどんなものなのかを見ていきたいと思います。
1.IPS
簡単に言うと、IPSパネルの液晶モニタは、とにかく発色が良いことが一番の特徴です。
なので、結論から言えばイラスト制作の現場でよく採用されている液晶モニタのほとんどは、IPSのモニタなのです。
色をたくさん使うイラスト制作や写真編集などにはIPSが一番向いていると言えます。
しかしその反面、他のVAやTNと比べ高価であることが多いです。
また、ゲームを中心に楽しむ人には向いていないと言われています。
なぜなら、高画質で静止画の処理に向いている分、操作に対する応答速度が遅めで、早い動きが求められるゲームでは動きがかくついてしまうことが多いようです。
2.VA
VAパネルはIPSよりも少し発色の良さは抑えめになります。
しかしその分IPSよりも安価であることが多く、IPSのモニタは高くて手が出せないのでVAのモニタを買うという人もいるので、IPS以外はイラスト制作ではありえないというわけではありません。
しかしやはり発色の良さというものはイラスト制作においては譲れないことではあるの、最初はお金がないという人も、まずはVAのモニタを買い、のちのちIPSのものに移行するのでもいいかもしれません。
IPSよりも安価な分、大画面のモニタを買える場合もあります。
3.TN
TNパネルは、IPSやVAと比べて発色の良さは正直劣ってしまいます。
また、TNの大きな特徴として、見る角度によって色が違って見えてきてしまうところがあります。
これでは正直イラスト制作には向いていませんね。
3つの種類の中で、一番避けたいのがTNになります。
しかしTNももちろん良いところもあって、先程のIPSで触れた応答速度が非常に速いという点があります。
なので、イラスト制作ではなく、ゲームなどを楽しむ人にはTNパネルがいいかもしれません。
そして上二つと比べて安価で手が出しやすいのも特徴です。
3.グレアかノングレアか
グレアとは光沢のことで、ノングレアは光沢ではない、非光沢のことを言います。
モニタにもまた別の区分けがあって、それは「グレア」か「ノングレア」であるかということになります。
これもイラスト制作に向いた液晶モニタを選ぶのに、非常に重要になってきます。
よく液晶画面で、ツルツルしていてよく光を反射するタイプの画面と、どちらかといえばざらざらしているようなマットな感じで、あまり光を反射しないものがあると感じたことはないでしょうか。
私はもともとグレア液晶を使っていたので、学校で使うパソコンの画面がマットな感じであまり光を反射せず、目が疲れなくていいなと感じていたところがありました。
そう、ノングレア、非光沢の方が目が疲れにくく、長時間作業することに向いているのです。
人によって好みもあるかとは思いますが、私も購入の際にはノングレアを選択しました。
画面が変に光で反射することなく、くっきりと見えるという点でもノングレアの液晶が使いやすい印象は非常にあります。
4.視野角とは
液晶モニタを買うとき、いろいろと仕様を見ていて謎だった一つの用語がこの「視野角」という言葉でした。
視野角とは、画面上下左右からそれぞれ見たときに、その表示されているものがどれだけ正確に見えるかを表した言葉になります。
視野角は178°/178°と角度で表現され、それぞれ左右/上下の視野角を示しているのです。
最大の角度は180°なので、上の表記では上下左右の傾いた位置から見ても、ほぼ正確に見えることを表していることになります。
視野角の狭いパネルは上でも触れましたが、TN方式のパネルがあげられます。
それに対してIPSパネルは皆ほとんどが「178°/178°」と表記されており、視野角が非常に広く、斜めから液晶モニタを眺めても内容が変わって見えることのないことを示しているのです。
イラスト制作にとって、モニタの視野角の広さは非常に重要です。
私は昔、視野角の狭いモニタでカラーイラストを描いていたことがありました。
それはもうわかりやすいほどに、少し目線を下げて絵を眺めてみると色が変わって見えてしまうことが多く、色塗りには苦労したことがあります。
イラスト制作で、特にカラーイラストを多く扱う人は、モニタには視野角というものがあるということだけは重要なので覚えておく必要があるでしょう。
5.入出力端子を間違えない
初心者の人で間違えやすいのが、モニタの入出力端子の種類ではないでしょうか。
液晶モニタを接続する端子口として一般的なものは、「HDMI」、「DVI」、「VGA」などがあげられると思います。
近年のものはHDMI端子が非常に多い印象ですが、中にはVGAなどもよく見かけます。
特に少し型番の古いパソコンや、モニタを購入するときは、HDMIでいいのかよく確認することが大事でしょう。
ちなみに私は見事に間違えました。
大体HDMIで大丈夫だろうと思っていたら、パソコンの方にHDMI端子が無かったのです。
結果としてモニタはHDMIもVGAも端子口があるものだったので、VGAでつなぐこともできましたが、よく調べて購入し、繋ぎたい端子口がどちらかにない場合が変換アダプタなどを用いるようにしましょう。
6.イラスト制作に適した液晶モニタは安く購入できるか
ここまで、あまり知識のない人でも最低限知っておくべきモニタに関することをまとめてきました。
最後に更に実用的なところに触れておきたいと思います。
それは、イラスト制作に適した液晶モニタは、なかなか高価で手が出せないものなのかということです。
答えは、そんなことはありません。
液晶モニタはたくさんのメーカーから販売されていますし、探せばいろいろな種類のモニタが出てくるものです。
ちなみに私は15000円ほどでIPSのモニタを購入しました。
あまり高価な金額は出せないけれど、イラスト制作に適したモニタが欲しいという人は、ぜひいろいろ探してみるといいでしょう。
安価で質も良いという点では、個人的におすすめなのは、LGとベンキューという二社のメーカーのモニタです。
LGはモニタだけではなく有名な会社ですが、初心者や学生などでも手が出しやすい価格に設定されていることが多いです。
それなのに質も高額なメーカーと大きな差はないとなると、ぜひチェックしてみることをおすすめします。
また、ベンキューというメーカーも非常に安価なモニタを販売していることで有名です。
安い分、画面の大きさだけは大きいものを購入して…ということが叶うので、どんなモニタを買うかどうかは、まずインターネット等で仕様をじっくりと調べてからにするのが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
液晶モニタと一言で言っても、いろいろな種類があってどれを買えばいいのか迷ってしまいますよね。
今回は、最低限知っておくべき項目について触れてきたので、このことだけ知っておくだけでも、間違いなくこれはNGというようなモニタを知らずに購入してしまうようなことはないでしょう。
ただ、やはりモニタはパソコン周辺機器ですから、非常に高価なものが多いです。
イラスト制作も、妥協をしないのであれば、早いうちに動作環境を整えるという意味で、今は無理でもいずれは液晶モニタのように動いていきましょう。
今まで狭い画面でちまちまと作業していた人も、あまりに快適な画面の作りに圧倒されることは間違いないと思います。