ペンタブデビューする前に、知っておきたい着眼ポイント
ペンタブレットを使ってみたいけど、使っている様子がイメージできないという声を聞きます。
タブレットPCを使い慣れている人であればそれに似た操作であるというイメージは湧くでしょうが、性能はそれだけではありませんし、機種を選ぶ着眼点も異なってくることでしょう。
ペンタブレットの基本的な選び方と、使い始めるに当たっての簡単な練習方法、さらにはペンタブレットを快適に使い続ける小さな技についても見ていきます。
>>私が絶対おすすめする液タブ・ペンタブランキングはこちら
ペンタブレットを選ぶ4つの着眼点
パソコンで絵を描く道具として「ペンタブレット」があることは聞いたことがあるけれど、具体的にどう使うのか分からないという方は多いでしょう。
近年はマンガ・アニメ・ゲームなどのコンテンツ産業市場が充実したことを受けて、消費者に対してコンテンツを消費させるだけでなく、「創作したい」という欲求を満たすために「絵を描く道具や資料」を販売する傾向が大きくなっています。
ペンタブレットももちろん「絵を描く道具」の代表例で、性能の良い道具やソフトウェアが比較的安価に販売されるようになってきました。
一方で、選択肢が増えてきてしまっているので、どれを選べばよいか分からないという意見もあるでしょう。
初心者には初心者向けが良いのか、それともある程度の機能を備えたものを選ぶべきか、悩ましいという声も聞きます。
具体的な機種についてはメーカーが公式にスペックや特長を紹介していますし、価格は常に変動しますので一概に言えません。
そんな中で、メーカーではなく機械の特徴のどこに着眼して選べばよいかを検討していきましょう。
板型か液晶型かで選ぶ
ペンタブレットには大きく分けて2つ、すなわち通常の板型ペンタブレットと液晶ペンタブレットがあります。
それぞれ「板タブ」「液タブ」と省略されて呼ばれることもあります。
板型タブレットは、タブレット盤面に専用のペンを走らせることによって、画面に絵を表示させる仕組みのタブレットです。
操作は手元で行いますが、その結果は前方のPC画面に表示されるのが特徴で、初心者にはなかなか慣れない仕組みですね。
そもそも2000年代前半頃まで、ペンタブレットといえば一般市場にはこの板型タブレットしかなく、単に「タブレット」と呼ばれていました。
液晶タブレットは、操作するペン先が画面となっており、ペン先に絵が表示される仕組みです。
今の若い世代で、スマートフォンやタブレットPCなど「画面に直接触れて操作する」という動作に慣れている人であれば直感的に扱いやすいといえるタブレットです。
例えば普通のアナログのペンで絵を描くのに慣れている人であれば、その環境をそっくりそのままデジタルに移行する感覚なので、すんなり馴染めるかもしれません。
ただし、板型タブレットよりもかなり高額で、性能の良い機種では10万円を超えるものもあります。
気軽に購入できるものではないかもしれません。
初心者向けか上級者向けかで選ぶ
具体的には「大きさ」と「筆圧レベルの違い」が大きな特徴です。
ペンタブレットが大きければ大きな絵も描きやすいですし、筆圧レベルが充実していれば繊細な線を引けます。
「私は初心者だから、最初は初心者向け」という意見はもっともなのですが、初めから機能が充実した機種を使い、早めに慣れてしまうというメリットもあります。
もちろん予算が許せばの話ではありますが、高額な機種はそれなりの性能を備えていますので、早いうちから優秀な性能を体験すれば、その後の上達も早まることでしょう。
大きさを基準に選ぶ
ペンタブレットの大きさには、ハガキ大のサイズの手軽な機種から、描画領域だけでA3版サイズの本格的な機種まで様々です。
おすすめは何かと尋ねられれば、答えは「大きなものが良い」です。
ただし、「大きなペンタブレットは描きやすい」という事実を知った上で「高額で買えない」「机に置くスペースが限られているのでB5サイズが限界」という場合など、単純に描きやすいという以外の理由でサイズが考慮されることもあります。
描く絵の種類を基準に選ぶ
絵を描くといっても、マンガイラスト風の絵、写真のように写実的なフォトペインティング、写真加工など、絵の種類は様々です。
またマンガイラストであっても、個人のWebサイトやSNSに気軽に投稿するイラストから、プロとしての漫画家によるイラストまで様々。
用途やレベルに応じて選びたいものです。
販売に当たって描画ソフトが付属している(または、ダウンロードが可能な)ペンタブレットもありますので、マンガ用か写真加工用かなど目的のソフトが付属するかによってタブレットを選ぶという基準もあります。
>>私が絶対おすすめする液タブ・ペンタブランキングはこちら
ペンタブを初めて使うとき、どうやって練習すればよいのか
絵を描き慣れている人でも、ペンタブレットを使うと勝手が違います。
特に板型タブレットの場合には、普通の筆記用具と違って、ペン先に直接絵が描かれる訳ではありません。
そもそも「ペン先を見ずに前方のPC画面を見ながら絵を描く」という動作は、初心者にとってはかなり違和感のある作業で、慣れるまでにかなり時間がかかりそうです。
では、初心者向けにはどんな練習方法が適しているでしょうか。
線を描くだけの描画練習
まず長い横線を引きます。
なるべく傾きがなく水平に近い線を、何本も何本も画面幅いっぱいの長さで描きます。
線と線の間隔は、画面上でだいたい2センチメートルくらいが良いでしょう。
それらの線はきれいに平行である必要はありませんが、あまりに斜めだと上か下の別の線にぶつかってしまうので、せめて他の線に接触しないように描きます。
次に長い縦線を引きます。
横線となるべく直角に交わるように描き、碁盤の盤面のような模様を描くのです。
縦線の場合にも横線と同じ程度の間隔を保ち、なるべく垂直に描きます。
ここまでで碁盤の目が完成しました。
そして次に、縦線と横線が交差した点を、丸で囲みます。
縦線×横線の数の、多数の交差点ができていますので、それらひとつひとつの上に、小さく丸を描いていくのです。
更に、丸は右回りで描くものと左回りで描くものを交互に繰り返し、多くの筆運びに手・手首を慣らしてゆくことが有効です。
この描画練習のメリット
この描画練習方法の利点は、「上手・下手がほぼ関係ないこと」です。
いきなり人物や風景の絵を描こうとすると、なかなか思うように描けないこともあります。
慣れないうちは特にそうでしょう。
また、ペンタブレット使用に慣れた人であっても、上手に描けないとそれだけでその後のやる気が削がれてしまうものなのです。
縦横の線と丸だけであれば、多少のゆがみはあっても当たり前であり、上手・下手は関係ありません。
芯のメンテナンスはなぜ必要なのか
ペンタブレットを使い始めて驚く人が多いことの一つに、「タブレットの芯は消耗品であること」があります。
もちろん鉛筆やクレヨンとは違って芯そのものが紙の上に絵として残る訳ではありませんが、それならなぜ芯は消耗品なのでしょうか。
それは、タブレット盤面を保護するために、芯がかなりもろい素材で作られているからなのです。
この特徴を知った上で、ペンタブレットを長く使い続けたいものですね。
芯が磨耗しやすい理由
タブレット本体の盤面は、ペン運びや筆圧を検知するためにとても精密な機構となっています。
そして、その上からペン先をこつこつと当てられる訳ですから、ペン先が硬いとデリケートな盤面にキズが付いてしまいます。
そこで、芯をわざともろくて磨耗しやすい素材で作ることによって、ペン先が当たっても盤面へダメージを与えないようにしているのです。
使用頻度にもよりますが、2~6ヶ月ごとに交換しないと描き味が落ちてしまいます。
面倒ですし費用もかかるので何とかしたいと思う人も多いことでしょう。
芯の交換頻度と芯のカスタム
磨耗しにくいステンレス芯というものがあります。
金属でできているため数年使ってもなかなか磨耗はしません。
通常のペン先より5倍ほど高額ですが、10倍以上の期間に渡って使えますので、コストパフォーマンスは高いでしょう。
ただし、タブレット盤面をキズ付けてしまう可能性が高いので注意が必要です。
具体的には、タブレットの盤面の上に紙を敷いて、その紙の上から描画するのです。
普通のコピー用紙で全く構いません。
紙を1枚敷いてその上から描くことで、ペン先には適度なざらざら感が得られ、むしろ実際のペンのようなか着心地が再現されるようだと好評の口コミさえあります。
あるいは、パスタを使うというカスタムもWebで紹介されています。
芯の代わりに、茹でる前の長さ2センチ程度のパスタをペン先へ差し込むというカスタムです。
使っている人によれば、純正の芯のもろさが再現されている上にとても安価だというメリットがあるそうです。
しかし、パスタはもろすぎて、ペン軸の中で折れてしまうと取り出せなくなるので、取り返しの付かない故障につながるおそれがあります。
これらのカスタムを実際に試して故障しても、メーカーの保障は受けられないおそれが高いので注意が必要です。
まとめ
ペンタブレットを使いこなすために必要なことは、もちろん「数多く練習すること」です。
しかし、ただやみくもに練習するのではなく、機種や使用ソフトウェアの選び方、日々の練習方法、更に盤面に紙を敷いておくなどの小技を知っておくことによって、少しの近道はできるかもしれません。
せっかく買ったペンタブを活用できるよう、基礎知識を身に付けた上でスタートしたいものですね。