ワコムのペンタブレット「Intuos Pro」最新モデルの性能はいかほど?
国内最大手のペンタブレットメーカー・ワコムから、ついに板タブの新モデルが発売されて1カ月余り。
筆者も購入し、レビュー数も増加しています。
旧モデルの購入で迷われていた方や、買い替えを検討されている方も、注目しているのではないでしょうか。
ここでは。
新旧モデル比較を中心に、新「Intuos Pro」の強みや特徴の紹介をさせていただきます。
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ワコム Intuos Proとは
ワコムから出ている、いわゆる「板タブ」の最上位モデル"Intuos Pro"。
ペンタブレット黎明期からご存じの方は、旧Bambooの後継モデルと考えて大丈夫かと存じます。
※Bambooの名称は今も残っていますが、ワコムのペンタブレットシリーズの中ではメモ・手書き文字用のシリーズと今は位置づけられています。
これまでIntuosと長く呼称されていた、定番のプロイラストレーター向け板タブに、ついに上位互換モデルが出ました。
それが"Wacom Intuos Pro"。
詳しくは後程解説しますが、
●小型化
●描画性能の向上
などが主な変更点であり、価格は旧モデルの倍程度となりますが、注目を集めています。
今や板タブよりも液タブ・iPad Pro+Apple Pencilなどといった対抗馬が出てきているなかで、この新製品は期待の星となるのでしょうか。
各口コミや実際の使用感などを検証しながら、ご紹介していきたいと思います。
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新旧モデルの違い
ここではまず、新旧の比較を進めていきます。
amazonでは、
●旧モデル…2014年6月モデル
●新モデル…2017年1月モデル
と区別されているので、ご参考までに。
サイズ展開
旧モデルではS/M/Lの3展開、新モデルではM/Lの2展開となっています。
それぞれ、
●旧モデル:18,468円/24,209円/34,007円
●新モデル:38,249円/48,477円
※各2017/2/23現在のアマゾン価格
となっています。
旧モデルのラージサイズが、新モデルのミディアムサイズに値段が逼迫しているので、ここは迷いどころになるでしょう。
読み取り可能範囲をミディアムサイズ同士で比較した場合、
●旧モデル:223.5×139.7mm
●新モデル:224x148mm
やや新モデルのほうが広くなっています。
ラージサイズ同士であれば、
●旧モデル:293.6×189.5mm
●新モデル:311x216mm
こちらはミディアムサイズよりも顕著に差があります。
外形はミディアム・ラージサイズ両方とも、旧モデルよりも新モデルの方が縦横50mmほど小さくなっており、コンパクトで薄型になったという印象があります。
描画性能の違い
スペック表記上で変わったのは、筆圧の最高レベルです。
旧モデルが2048ポイントであるのに対し、新モデルは8192レベル。
注意点としては、現行入手可能なペイントツールで、8192レベルに対応したソフトはありません。
しかし、Win10で上記筆圧対応ソフトを動作させる上ではまったく問題がないとの意見もあるため、今後各ペイントツールが対応していく可能性は十分にあります。
新機能"ペーパーエディション"
新モデルには「ペーパーエディション」と銘されたモデルがあります。
専用の紙に描画できるペンを使い、タブレット上に紙を敷いて描画することで、タブレット本体に描画情報を記憶させておくことができます。
パソコンと接続していない状態でも可能なので、お出かけ先等でスケッチ・帰宅後パソコンに接続して記憶されている描画データを読み込む…ということができます。
オプションや追加機能・キットなど
旧モデルをワイヤレス接続するには、専用キットを別途購入する必要がありました。
しかし、新モデルはBluetooth接続が標準でできるようになっており、パソコン側がBluetooth2.0に対応していれば、そのまま無線で接続することが可能です。
オーバーレイシートは2017/2/23現在未発売ですが、
●スムース
●スタンダード
●ラフ
上記3種類が発売予定となっています。
ペンとの摩擦係数がそれぞれ異なっており、アナログ描画をするときの自分好みの感触に近いモノを選べる…というのが強み。
シートのサンプルも同梱されており、期待は高まるばかりです。
旧機種を買うなら今!?
ここまで旧モデルとの比較を中心に新モデルのご紹介をしてきましたが、ペイントツール等の都合上、新モデルの機能を完全に生かすのは難しいというのが現状です。
そこで狙い目なのが、旧機種。
量販店では目立ちませんが、アマゾン等の通販サイトでは、新モデル発売をきっかけに1万円以上の値引きがされることが多くなりました。
旧モデルでも、CLIP STUDIOやSAI、Painterなどの良く使われるペイントソフトと、相互に性能を最大に引き出すことができます。
海外メーカー製ペンタブレットに比べると割高感があるワコム製品だけに、今後の旧モデルの値引きの動向には注目が集まります。
経済的問題でペンタブレットの購入を諦めていたかたは、是非この機会に旧モデル購入を検討してみてもよいのではないでしょうか。
また、新モデルでもアマゾンでは値引きが続いており、よりお得に購入されたい方は要チェックです。
前述にもありましたが、新旧のミディアムサイズの価格が逼迫しており、アマゾンの価格動向次第では、新モデルを旧モデルとほぼ同程度の価格で購入できるという可能性があります。
今後のペイントソフトの対応状況次第ですが、新モデルを買った方がより長く使える可能性が十分にあるので、ご自身のPC環境・お使いのペイントソフトやお財布と相談しつつ購入することをおすすめします。
新機種のレビュー
ここで、実際に使ってみた感想をご紹介したいと思います。
やはり最初にインパクトを受けるのは、旧モデルに比べて随分とすっきりとしたフォルムになったことでしょうか。
旧モデルの場合、ラージサイズだと随分と机上を圧迫する印象でしたが、今回は筆者も含めて取り回しがしやすくなったという声が多数あります。
端子の差込口が旧モデルと異なり、手前から向かって奥に配置されているため、有線モデルでも机上がごちゃつく感じはありません。
旧モデルの描画域は、つるつるとした触感でオーバーレイシートがないとすぐに磨耗・描き心地も慣れるまでは時間がかかりましたが、新モデルでは若干ひっかかりのある仕上げとなっており、アナログの描き心地により近くなっています。
ペン性能も、スペック表記上では旧モデルとの違いが最大筆圧感知精度のみですが、傾きや微妙な表現にも対応するような体感があります。
ただし、ペン先の磨耗速度は旧モデルに比べて若干早いように感じるので、替え芯は余分に用意しておく必要が考えられます。
問題は、ドライバに関するエラーの報告が多いことでしょうか。
筆者の環境ではスムーズに使うことが出来ましたが、旧モデルや他のペンタブレットを使用していた方は、一旦は前のドライバを削除してからインストールすることが望ましいと思います。
また、CPU性能やメモリなどのスペックも要求するようで、PCスペックによってペアリング速度・FPSなどが随分と変わるようです。
まとめ
新Intuos Proは、現状のPC側の環境やペイントソフトの性能向上を牽引する、次世代の”板タブ”と言って間違いないでしょう。
描くスタイルは違えど、性能そのものは液晶ペンタブレットにすでに到達・あるいは凌駕しており、末永く愛用されたい方にはもってこいの製品です。
とはいえ、旧モデルもまだまだ現役。
今後のデジタルアートツールの進化を見守りながら、じっくりと検討してみてください。