知られざる安価なペンタブレットの、性能と使い心地を検討します
近年ペンタブレットの値段は下がり、今ではプロのイラストレーターや写真家でなくても使う人が増えてきています。
しかし、スマートフォンやタブレットPCほど普及はしておらず、有名なブランドはやはり高額という印象を持つ人も多いかもしれません。
そこで、有名でなくとも安価な製品を製造・販売しているブランドにはどんなものがあるのか、見ていくことにしましょう。
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ペンタブレットで有名なのはやはりIntuos
ペンタブレットで有名な「Intuos(インテュオス)」というブランドがあります。
Intuosとは、やはりペンタブレット開発・販売で有名な会社WACOMの主力商品シリーズの名前。
液晶型タブレット以外に付けられている商品名のことです。
2000年代半ばまでは、初心者・中級者向けのIntuosと、高性能なプロフェッショナル向け製品のIntuos Proの二種類のブランドがありましたが、2013年頃からは区別されないようになりました。
また、同じく2013年には、入門者用として知られていたかつての「Bamboo」ブランドを、吸収・統合しました。
WACOMのペンタブレットの市場占有率
ところでIntuosシリーズを含め、WACOMが開発・製造した製品は、ペンタブレット市場の実に8割以上を占めている大きな存在です。
競合する他社の製品よりも高性能で使いやすい特徴があったからこそ大きなシェアを築きました。
シェアが大きいからこそ独占市場に近い状態となり、価格が高くてもほかにおすすめされる選択肢が無いので仕方なくIntuosを選ぶ人も多いかもしれません。
しかしそんな昨今、ついに追随する他社のペンタブレットも登場するようになりました。
後で詳しく紹介していくこととします。
BambooとIntuosの違いは
今はあまり聞かなくなってしまったブランド名「Bamboo」も、やはり同じくWACOMの発売するペンタブレットのブランドです。
A6サイズの小型ペンタブレットとして、気軽に絵を描く人達から親しまれていました。
プロ向けではなく一般向けとして開発・製造されたシリーズなので、Intuosと比べてBambooは、初心者用・入門者用として位置づけられた存在でしょう。
なお2013年に、ブランドはIntuosと統合されました。
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最新のIntuosの特徴
1998年に初めて発売されたIntuosは高額で大型で、扱いにも慣れが必要でした。
それが今や、小型軽量で、手頃な値段と高性能を両立するまでに進歩しています。
最新のIntuos(CTx系)は、持ち運び用途に特化したのが特徴です。
ペン先は1種類のみで、傾きやペンの向きなどを検知する機能も省かれています。
しかしそれでも、筆圧検知は1024段階、基本的な描画性能は高く、またワイヤレスでの駆動時間が長いためノートPCにもおすすめできる性能です。
目的別に分けられるようになったIntuos
近年では、2013年頃まで分けられていた使用者のレベル別ではなく、目的別にバージョンが存在します。
小型で手軽さを重視した「Intuos pen small」。
ペン入力に加えてタッチ入力も可能となった「Intuos pen & touch」。
線画の描きやすさを追求した「Intuos comic」。
それら全てを備え、写真加工にも「Intuos Pro」。
上記のように、目的別におすすめされる製品ラインナップが揃っています。
最新機種WACOM Cintiq Pro 16の特徴は
最新機種であるCintiq Pro 16。
実は、従来のWACOM製品より性能が上がった訳ではありません。
元々以前の機種の性能がかなり完成度の高いものであったため、改良の必要が薄かったという点もあるようです。
描画性能ではなく、Wacom Linkという機能を使って、4K環境のディスプレイへ普通に接続できる機能を備えた訳です。
操作が画面に反映されるまでのタイムラグ(遅延)はややあるものの、クラシックペンだとスムーズに動きます。
なお、OSがWindows 7では一部機能に制限が加わるので、Windows 10以上のPCで使う必要があるようです。
Kamvas Pro 13の特徴は
Intuosはペンタブレット製品の中では有名かつ高性能で、圧倒的なシェアを誇っていますが、価格が高いのも事実。
では、もっと安いメーカーの製品はどうでしょうか。
性能や使い心地を検討していきましょう。
まずはKamvas Pro 13の特徴を紹介します。
サイズは13インチで、筆圧および傾き検知機能を備えた液晶タブレットです。
それでいて価格は、2018年9月現在でおよそ3万7千円程度という低価格を実現しました。
Kamvas Pro 13の性能と描き心地は
筆圧検知は8192段階なので、高価格帯のペンタブレットと同じように描き心地も良いでしょう。
RGB92%の高色域液晶、薄型軽量をアピールするフルスペックの液タブです。
特に、低視差アンチグレアガラスとペン精度は特筆すべき性能です。
フルラミネーションという方式を取っているので、斜めから見ても色が変わって見える現象が起きにくい作り。
また、傾きを検知できるペンなので、寝かせて描く描画表現もできます。
ポインタ精度もとても高くて画面隅でもさほどずれません。
Kamvas Pro 13の液晶の見え方は
RGB92%の色とは具体的にどのような感じかというと、標準的な性能の4K液晶ディスプレイと比較しても差が感じられない程です。
シャープで美しい画像描写ができるのです。
低視差なので、タブレットを傾けても見え方が変わることなく描画できます。
それにペンも傾き検知機能を有しているので、ペイントソフトに傾き情報を伝える事が出来る機能という感じです。
そのための折り畳み式スタンドも付属しています。
ケーブルは本体側は1本でPC側で3本に分岐し、USBとHDMI接続ができます。
XP-Pen Deco 02の特徴は
次に検討したい低価格帯ペンタブレットが、XP-Pen Deco 02です。
価格は、2018年9月現在でおよそ1万3千円程度。
B5サイズとやや小さめですが、筆圧検知は8192段階で、六角細軸ペンという握りやすいペンが付属するのが特徴です。
本体にはショートカットキーが6個も設けられており、ブライの種類やサイズを登録するのに向いているでしょう。
安価ですが、初心者だけでなく上級者の使用にも耐えられる性能を持っています。
XP-Pen Deco 02の性能と描き心地は
正直、タブレットとしての性能は一般的なものでしょう。
高価格帯の製品と比べれば劣りますが、この価格にしては優れた性能を持っているという程度。
しかし、六角軸のペンが付属するのが大きな特徴です。
鉛筆を使い慣れている方にとっては握りやすい感覚でしょう。
鉛筆を模したような安価なペン軸が市販されていますが、これは安っぽい作りではありません。
しかも、筆圧検知8192段階もかなりスムーズに動き、実際の付けペンのような筆圧を再現できます。
ただ、ショートカットボタンが1つしかない点は注意が必要かもしれません。
まとめ
ここ15年ほどでペンタブレットは進化し、3年ほどで多様化してきました。
高性能へ進化するだけでなく、万人向けに使いやすいようになってきたと言えるでしょう。
ところで、iPadなどのタブレットPCが液晶ペンタブレットの特徴を真似る傾向が見られるようになりましたが、それも「万人向けを追求する」方向性から導かれた進歩に違いありません。
使いやすいペンタブを開発・製造・販売する現代の時流に乗りたいものですね。