自分で描いたデジ絵を動かせる! アニメが作れる無料ソフト
ニコニコ動画などの動画サイトに行くと、デジ絵を描く人たちが作ったアニメを目にすることがあります。
つい数年前までは、こういったアニメを作ってみたいと思っても、作るのに必要なソフトが有料で、しかも高価でした。
そうかと言って、無料のソフトは機能的にお粗末なものが多く、使い勝手が良くなかったのです。
しかし、今は無料で使いやすいソフトが登場し、以前よりもアニメが作りやすくなってきました。
今回はそんな無料ソフトでアニメを作る方法について、紹介します。
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目次
無料で使えるアニメ作成ソフト
無料でアニメが作れるソフトとしては、「FireAlpaca」、「Krita」、「OpenToonz」などが知られています。
この3本を使用難易度順に簡単に紹介します。
FireAlpaca
本来はデジ絵向けのペイントソフトですが、シンプルな操作性で、初心者に非常におすすめ。
最初はこちらのソフトで、ごく簡単なアニメを作ってみると良いと思います。
しかし、もう少し踏み込んだ作品を作るには、機能不足です。
特にオニオンスキンが1フレーム前までしか表示できません。
込み入った作品を作るには、物足りなくなってくるでしょう。
なお、このソフトでできるのは、作画までで動画ファイルに書き出すことができません。
そこは別のソフトで行います。
Krita
前述のFireAlpacaと同じく、こちらも本来はペイントソフトです。
全体的なバランスが良く、個人的におすすめです。
画面の感じが何となく「Adobe Animation(旧名 Flash)」やSAIに似ており、使ったことのある人には比較的とっつきやすいと思います。
詳細は後述しますが、オニオンスキン機能が充実しています。
しかし、動作が重めなので、パソコンのスペックによっては、動かすのが厳しいかもしれません。
FireAlpaca同様、こちらも動画ファイルに書き出す機能がありません。
別途、動画編集ソフトで書き出す必要があります。
OpenToonz
元々はプロ向けに開発されたアニメ作成ソフト。
スタジオジブリの作品にも使われています。
つまり、これを使えば、本格的なアニメが作れます。
しかし、高機能すぎて使うにはハードルが高めです。
専門用語も多く、覚えることがたくさんあるので、初心者には難しいでしょう。
ただ、FFmpegと連携してmp4動画ファイルの書き出しが可能ですので、Kritaなどで描いた絵を動画ファイルにするのに使ってみるのも手です。
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おすすめはKrita。オニオンスキン機能が便利
紹介したソフトのうち、個人的にはKritaが最もおすすめです。
アニメ作成に必要な機能がまとまり良く揃っています。
特に、オニオンスキンの機能が充実しています。
オニオンスキンとは、前後のフレームを透過表示させる機能です。
手描きアニメで使うトレース台のような機能、と言ったところでしょうか。
Kritaでは、前後最大10フレームまで透過して表示できます。
透過率も指定できます。
透過のオニオンスキンを使うことで、複数のフレームを確認しながら描くことができ、便利です。
ちなみに「オニオンスキン」という呼び方は、アニメーターが使う半透明の紙に由来します。
動画作成機能がない
しかしながら、Kritaも万能ではありません。
ソフト紹介のところでも触れましたが、Kritaには動画ファイルを書き出す機能がありません。
Kritaでできるのは、作画から画像出力までです。
動画は別に動画編集ソフトを用意して、書き出します。
このような手間がかかるものの、これだけアニメ向けの作画環境が整ったソフトが無料で使えるのです。
全くもって良い時代になったものです。
動画に書き出す方法
Kritaなどで描いたアニメを動画に書き出すファイル形式としては、aviやmp4が一般的です。
書き出すためのソフトは色々ありますが、無料ソフトではAviUtlやffmpegが良く使われています。
設定は結構複雑ですが、一度やってしまえば、後は書き出すだけですので、面倒なのは最初だけです。
ここでは詳しい説明は省きますが、一例として、AviUtlによるニコニコ動画向けのmp4動画の作成方法のページを以下にあげておきます。
https://nicowiki.com/aviutl_h264.html
とりあえず作ってみる
FireAlpaca、Krita、OpenToonz共に、チュートリアル的な動画がYouTubeなどにありますので、基本的な使い方については、そちらに譲ります。
とりあえず、短くても良いので、アニメを作ってみましょう。
まずは15~30秒程度のCMぐらいの尺から始めましょう。
内容は自由ですが、自分で描けそうな範囲に留めておかないと、後で辛くなります。
とにかく最初は、最後まで完成させることが優先です。
動かすにはたくさん描かないといけない?
アニメはたった30秒でも、1秒間に12フレーム表示させる場合、単純計算で12×30=360枚描く必要があります。
しかし、個人で360枚描くのは、正直しんどいです。
ということで、ところどころに静止画を入れたりして、枚数を減らします。
静止画を入れまくって、カメラワークだけで乗り切るという方法もあります。
アニメのエンディングなどは、意外に動きが少ないので、参考にしやすいです。
アニメ作成の基本を知る
実践しながら作るにしても、多少はアニメの基本を知っておいた方が、作るのが楽になります。
そういった知識を得る方法を、いくつか紹介します。
1.解説動画
YouTubeなどの動画サイトには、アニメの基本について解説している動画が結構あります。
アニメーターによる解説動画。
○歩き方の解説。
https://www.youtube.com/watch?
v=7hlKXneikpM
○アニメの色々なテクニックについての解説。
人物だけでなく、背景についても学べます。
https://www.youtube.com/channel/UCRYuHKwhgfCighvhR3n151w
探せば、他にも色々あると思います。
2.解説本
まとまった情報を得るには、本がおすすめです。
一冊持っていると、必要な時にさっと出して、すぐに確認できて便利です。
個人的におすすめな本は「アニメーターズ サバイバルキット」。
著者は、映画「ロジャーラビット」のアニメ監督です。
図解が豊富で視覚的に理解できるので、素人にも非常にわかりやすい内容になっています。
ただ、残念なことに、この本はフレームレートが24で描かれています。
ですから、例題を丸写ししても、フレームレート12の動画内ではちゃんと動きません。
3.実際のアニメ作品
本物のアニメを参考に、マネしてみるのも良いでしょう。
私自身は、この方法を一番使っています。
すぐに確認できてお手軽です。
無料の動画編集ソフト「AviUtl」の「連番BMP出力」を使うと、画像サイズやフレームレートも変更できます。
出力した画像は適当なイメージビューアソフトなどで連続表示すると、動きが確認しやすいです。
さらにわかりやすくするのに、1フレームずつトレースして、線画だけにしてみるのも良いでしょう。
ちなみにトレースした線画の一部だけを描き換えていくと、ニコニコ動画などで見かける、いわゆる「手書きMADアニメ」になります。
まとめ
自分でアニメを作ってみると、たった数秒でも結構な数の絵が必要なことが良くわかります。
それだけに、作業には多くの時間が必要になります。
根気の作業です。
しかし、たくさん描くので、その分デジ絵を描く能力が伸びます。
アニメの見方も変わります。
良いと思ったり、気になった作画はコマ送りして見返して、どう描いているのか見るようになったりします。
こんなに素晴らしい作画のアニメが週に何本も見られることを考えると、改めて日本のアニメ制作会社はすごいと思います。