身近すぎて忘れられがちな液晶モニタの仕組みをチェック!

液晶モニタ

私達の身近にはどうやって作られ、どうやって機能しているのか今一分からないものがたくさんあります。

パソコンやスマートフォン、マウスや各種家電製品には色んなテクノロジーが詰め込まれているのです。

そこで今回は液晶モニタの仕組みについて解き明かしていきましょう。

そもそも液晶とは何を指すのか、そして液晶モニタにはどのような駆動方式が存在するのか、色々と探っていくことにします。

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液体と個体の間にある液晶

液晶モニタや液晶テレビに使われている「液晶」というのは非常に特殊な物質の状態を指す言葉です。

理科の授業では物質の状態として「個体・液体・気体」というものを学びますが、液晶はこのどれにも属しません。

液晶は個体と液体の間に存在する特殊な状態なのです。

その特性は液体であるにも関わらず分子が大まかに規則正しく並んでいるというもので、電圧をかけることでその方向をコントロールできるというものになります。

液体というと自由に分子が飛び回るイメージを想起させるものですが、液晶の場合は個体(結晶)としての性質も有しているのです。

液体なのに分子の配列が整列できるというとても珍しい特性といえるでしょう。

また液晶には温度変化により変化するサーモトロピック液晶と混合物により現れるリオトロピック液晶が存在し、特にサーモトロピック液晶は分子配列の構造によって様々な種類に分類することができます。

種類としては「ネマティック・スメクティック・コレステリック・ディスコティック」というものがあり、液晶モニタには主にネマティック液晶が使われている形です。

ネマティック液晶は他の液晶よりも動きやすく操作しやすいという特性を備えています。

液晶の材料になるのは人工的な化合物で、実際に使われるものは化学的に様々なものをブレンドしたものです。

その大きさはナノメートル(10億分の1メートル)ほどに薄く、本体には塗布されているような状態といって良いでしょう。

液体というとじゃぶじゃぶ動くように思われるかもしれませんが、板の上に途轍もなく薄く均一に塗られているような形となります。

ここまでのまとめ

これまで述べてきたことを一旦まとめておきましょう。

●液晶は液体と個体の性質を併せ持った状態・液体なのにも関わらず分子が整列しており電圧によって操作することが可能・液晶モニタに使われる液晶は温度変化を伴うサーモトロピック液晶の中のネマティック液晶というもの・材料は人工的な化合物でナノメートル単位で薄く板に塗られているとにかく「電圧によって方向を操作できる液体のようなものが薄く板に塗られている」ということがわかりました。

一体電圧によって分子の方向を操作することでどうやってモニタとして機能するのか不思議に思われるかもしれません。

その辺りを探るためまずは液晶モニタを構成するパーツについて確認しておきましょう。

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液晶モニタの構成

液晶モニタは薄いものですが、その中は積層構造となっています。

構成しているパーツは「バックライト・偏光フィルター・ガラス基板・透明な電極・配向膜・液晶・スペーサー・カラーフィルター」となります。

一気に言われても困るので1つ1つ簡単にみていきましょう。

バックライトはいわゆる光源です。

液晶はそれ自体が発光するわけではないので光源を必要とします。

偏光フィルターは層を通過する光を調節することができ、ガラス基板はモニタの中身を外傷から守ってくれます。

透明な電極は液晶を操作するために必要で、配向膜に液晶が塗布されている形です。

スペーサーは液晶が機能するために必要な空間で、カラーフィルターは色を付けるために必要なパーツとなります。

駆け足となりましたが、液晶はこのようなパーツで構成されています。

なお液晶を中心としてガラス基板と偏光フィルターが層を両側から挟んでいる形です。

全ては光のコントロール

パーツから光の流れを考えてみましょう。

まずバックライトから光が放たれます。

この光には様々な光の波長が含まれているのですが、次に偏光フィルターを通過することで特定の波長の光のみが内部を通過します。

ガラス基板に入り込んだ光は、やがて液晶が塗布されている配向膜へと到達し、そのときの液晶の配列通りに屈折します。

そしてカラーフィルターによって色づけされた光は再度ガラス基板を通り、また偏光フィルターを通るのです。

2度目の偏光フィルターを通る理由は、液晶によって屈折した光の選別を行うためとなります。

表示してはならない光はそこで遮られますが、表示すべき光は偏光フィルターを通り抜けやがて私達の目に至るというわけです。

液晶モニタの駆動方式

液晶モニタには主に3つの駆動方式が存在しています。

それはTN方式・VA方式・IPS方式というもので、これまでの説明は主にTN方式のものとなる形です。

一般的にはTN方式の液晶モニタがほとんどで、かつ最も基本的な方式なため、TN方式を代表して説明してきました。

では一体この駆動方式はどういうものなのかそれぞれみていきましょう。

TN方式はTwisted Nematic方式と呼び、その名前からも明らかなようにネマティック液晶を使用した方式です。

またTwistedは「ねじれ」ということを意味するのですが正にねじれによって光の操作を行う形となります。

まず電圧をかけていない状態の場合、TN方式では全ての光が通るよう液晶の分子配列は水平になるのです。

そして電圧をかけていくと90度に垂直に立ち上がり、光の通貨を阻害するように並びます。

分子配列が90度にねじれることで偏光フィルターを通過しない光を通すようになるわけです。

仕組みから考えていけば段々とその仕組みが分かってきます。

VA方式はVertical Alignment方式と呼び、TN方式と逆で電圧をかけない状態が暗く、電圧をかけると明るくなります。

そのため黒色の表現が豊かでくっきりと画像を表示することが得意です。

IPS方式はIn Plane Switching方式と呼ばれるもので、90度にねじれるのではなく水平方向にねじれることで光のコントロールを実現しています。

電圧と明暗の関係はVA方式と同じで、電圧が無い状態は暗くなります。

どの方式が何が得意か

それぞれの方式にはそれぞれ得意な領域があります。

自分の目的に合った方式のものを手に入れると良いでしょう。

TN方式は応答速度に優れており、発色の正確さにはやや劣っています。

また垂直に分子をねじれさせることから視野角(モニタを横からのぞいて正常に見える角度)が狭いため画像表示には向いていません。

真正面から見続け、かつ応答速度が重要となるゲームにおいて役立つでしょう。

IPS方式は画像を綺麗に描写することに長けています。

水平に配列分子が動くため視野角が広く、大きなモニターに相応しいといえるでしょう。

ただ応答速度は遅いためゲームに使うのは難しいかもしれません。

一方、VA方式は両者の中間的な位置にあるものといえるでしょう。

応答速度も比較的良く、コントラストもしっかりと表現されるためTN方式とIPS方式の真ん中にあるような方式といえます。

ゲームならTN方式、綺麗な画像を映したり絵を描くならIPS方式、どちらの特性も欲しいならVA方式という形で選んでいくと良いでしょう。

ゲームをするときのおすすめは応答速度の高いTN方式

TN方式の液晶モニタの中にはゲーミングモニターというものがあり、これは特に応答速度に優れている形です。

もしゲームを満足した環境でプレイしたいならゲーミングモニターを手に入れることをおすすめします。

応答速度が高ければ視点移動の激しいゲームでも忠実に描画してくれるため快適に遊ぶ事ができるはずです。

単純に良い製品「BenQ ZOWIE XL2430」

ゲーミングモニターには色々なものがありますが、例えばこの製品をおすすめします。

BenQは台湾の企業でモニターを長年手がけてきた実績がありますし、ゲーミングモニターも生産している形です。

144ヘルツ(1秒間で更新される画面の更新頻度、一般的には60ヘルツ)で起動できるためパソコン本体のスペックさえあればゲームもぬるぬる動かせるでしょう。

まとめ

液晶モニタの仕組みについてみてきました。

やや難しいところもありましたが、基礎的な部分から見ていくと段々とその正体が見えてくるものです。

液晶モニタとは電圧をかけて液晶の分子配列を変化させ、偏光フィルターを通す光を選別して画像や映像を映すという機械だったのでした。

また方式によってそれぞれ得意なことが異なるため、選ぶ際には参考にしておきましょう。

ゲームならTN、画像の綺麗さならIPS、その中間ならVAです。

自分にとって最適なモニターはどのようなものなのか、悩みながら選んでいきましょう。






液晶モニタ