性能は十分か迷うことも多い、近年登場した低価格帯液タブを紹介
かつては10万円程度の価格帯で、趣味の範囲ではなかなか手がでにくかった液晶タブレット。
ペンタブレットで絵を描いたり写真を加工したりする需要が増えると共に、今や価格は少しずつ下がってきました。
ここ2~3年では、低価格帯と言われる、従来品よりずっと価格の安い液タブ製品も登場するに至りました。
有名ブランドと安価な製品それぞれの特徴を紹介し、またそもそも液タブを使い始めるに当たって戸惑うことの多い点を見ていきます。
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目次
最大シェアで性能も高いWACOM Cintiq Pro 24
2018年3月、WACOMから最新の液晶ペンタブレットが発売されました。
Cintiq Pro 24です。
4K表示に対応した、大画面の23.6型が大きな特徴として宣伝されています。
WACOM Cintiq Pro 24の主な特徴は
WACOMの液タブ製品は、描き心地という面では「進歩し終えた」と言われることさえありました。
すなわち、「これ以上は性能が向上しても、ユーザーが体感するほどの変化はなく、描き心地を向上させるコストパフォーマンスが悪い」という段階に達してしまったという訳です。
そこで、Cintiq Proシリーズでは、描画性能ではなく、ネット接続の方法を進歩させました。
Wacom Linkという機能を使って、4K環境のディスプレイへ接続できる機能を標準装備させたという訳です。
操作が画面に反映されるまでのタイムラグは発生してしまうのの、(液タブ本体への)描画自体はスムーズに動きます。
なお、OSはWindows 10以上のPCが推奨されています。
Windows 7では一部機能に制限があり、全ての機能を使えないのだそうです。
WACOM Cintiq Pro 24の価格は
価格は、2018年10月現在でおよそ26万円程度。
なお一つ前の機種である Cintiq Pro 16は、およそ16万9800円程度です。
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サイズは小さいが専用ペンが特徴のXP-Pen Deco 02
2010~2015年頃には、液晶タブレットはまだまだ10万円以上する高価なデバイスでした。
しかし近年では、液タブの性能はほぼそのままに、安い価格帯の商品も開発・販売されるようになってきました。
まず、「性能は劣ってもよいので、安価な液タブがほしい」という方におすすめの製品が、XP-Pen Deco 02です。
XP-Pen Deco 02の主な特徴は
B5サイズとやや小さめですが、筆圧検知は8192段階で、六角細軸構造の握りやすい形状のペンが付属しているのが大きな特徴。
本体にはショートカットキーが6個も設置されているので、ブラシの種類やサイズをショートカット登録するのに向いているでしょう。
とはいえ、さすがに低価格帯なので、ハイスペックの製品とは差が出てしまいます。
筆圧検知は1世代前の水準ですし、液晶の視差を補正する機能も備えていません。
ただ、そこを「安いのだから止むを得ない」と割り切れるユーザーであれば、安価ですが初心者だけでなく上級者の使用にも耐えられる性能を持っています。
XP-Pen Deco 02の価格は
価格は、2018年10月現在でおよそ9,000円程度。
最安値だと7,100円との情報もあります。
ペン精度は十分に高いKamvas Pro 13
低価格帯の中ではやや高額ですが、価格を上回る性能を備えた製品が登場しています。
コストパフォーマンスの良い液晶タブレットを探している、というニーズに応えられる製品が、このKamvas Pro 13。
サイズは13インチで、筆圧および傾き検知機能までも備えた液タブです。
Kamvas Pro 13の主な特徴は
筆圧検知は8192段階で、一つ前の高価格帯の液タブと同じ描き心地といえるでしょう。
本製品の優れた点は、RGB92%の高色域液晶と、低視差アンチグレアガラスの採用。
「フルラミネーション方式」という構造を持っているので、正面からでなく斜めから画面を見ても、色が反転するなど変わって見える現象が起きにくい仕組みとなっています。
また、傾きを検知できるペンなので、鉛筆のように寝かせて描く描画表現にも対応できます。
ペン精度もとても高く、画面隅でのズレも気にならない程。
更には薄型軽量もアピールしているという、各所でおすすめされるフルスペックの低価格液タブです。
Kamvas Pro 13の価格は
価格は、2018年10月現在で、およそ4万4千円程度です。
液晶タブレットの性能を過信しないように
液晶タブレットは、板型タブレットと違い、ペンの先に線が表示される訳ですから、実際のペンと紙で描く感覚に近いといえるでしょう。
ただ、「近い感覚」といっても、実際に使ってみると違和感も多いものです。
これは、どの液タブ製品であってもほぼ共通すること。
使っているうちに慣れるものではありますが、最初は次の点に戸惑う方も多いので、事前に知識として知っておくと良いかもしれません。
描画にタイムラグが発生する
例えばタイムラグ。
ペンを液晶の上で滑らすと、僅かに「遅れて付いてくる」ように線が表示されます。
なので、素早くペンを動かすと、ペン先の動きに感知機能が完全には付いて来られない現象も発生してしまいます。
例えば素早く「L」とタブレットのペンで描いたと想像してみてください。
自分は手で「L」字を描いたつもりでも、液晶の感知機能は「L」の素早い動きを追いきれないため、左下の直角を飛ばし、「左上から右下へのカーブ」が表示されてしまう、といった現象が発生するのです。
感知機能に捕えてもらえるように、筆運びを適度に遅くする必要があります。
液晶はガラス面のように抵抗が少ない
ペン先に抵抗が少ないのも違和感の原因。
液晶画面は、まるでガラス表面に固いペン先を当てるような描き心地です。
つまり、紙によるざらざらした抵抗が全くなく、ペンが滑りやすいような感覚があります。
板型タブレットであれば、盤面に紙を敷いて、適度な抵抗を発生させる使い方もよくされていますが、液晶画面上に紙を敷いてはもちろん画面が見えません。
実際のペンでガラスに描くことは稀ですから、抵抗の少ない面に慣れないと感じることでしょう。
なお、対策として、適度なざらざら感を出すための保護シートも発売されています。
使い方に慣れるまでは、液タブ特有の動きがあることを知っておきたいですね。
板型タブレットから移行する場合にも違和感が残る
板型タブレットを使う際は「手元で」描いた絵が「前方の画面に」表示されます。
つまり、絵の上に腕が乗らないため、絵全体を見通しながら描画することが可能でした。
板型タブレットの「絵の上に腕が乗らない」性質に知らず知らずのうちに慣れてしまうと、いざ手元に描画する方法に慣れないと感じてしまうかもしれません。
また繰り返しとなりますが、板型タブレットであれば、盤面に紙を敷いて、適度なざらざら感を出すこともあるでしょう。
これは液晶画面上では真似できません。
代わりの保護シートも発売されていますが、紙を敷くように気軽に使えない(敷いたり外したりできない)のは難点ですね。
まとめ
ここ15年ほど、液タブは少しずつ進化しました。
しかも、高性能へ進化してきただけでなく、万人向けに使いやすいように、いわば裾野が広がったと言えるでしょう。
高性能を求めるか、性能は自分の使い方で補うのか、吟味しなければいけませんね。
また、液晶タブレットは板型タブレットの単なる「上位互換」ではありません。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、好みや性格に合ったものを賢く選択したいものです。