漫画用で最もコストパフォマンスのいいペンタブレットはどれか?

ペンタブレット(板タブ)

プロの漫画家ではアシスタントを何人も雇うのが常識となっているほど、手書きで漫画を描くのは大変な手間がかかるものです。

最近では漫画制作の現場もデジタル環境への移行が進み、プロだけでなく趣味で描いているアマチュアの間でもペンタブレットを利用する人が増えています。

ペンタブレットを使えば1人でも漫画を効率的に描けるようになりますが、漫画に適したペンタブレットは使いやすさに加え、購入しやすい価格も選定条件の1つです。

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手書きからデジタルに移行する際にはペンタブレットの選び方が重要

マウスの代わりにペンの形をした入力機器を使って描画するペンタブレットは、プロの漫画家以上にアマチュアの間で普及率が高いとも言われています。

同人誌や投稿サイトなどを通じて趣味で漫画を描いている人の多くは、ペンタブレットを使用しながらパソコンで描くデジタル派なのです。

パソコンを使って漫画を制作する手法が確立したのは20年以上前にさかのぼりますが、当時と比べても現在はペンタブレットの性能が向上しています。

ペンタブレットを使って描いた方が手書きより効率的で、線の修正やベタ塗りなど面倒な作業も容易です。

画面と入力装置が離れている点に違和感を覚えてペンタブレットになかなかなじめない人もいますが、うまく扱えるようになればペンの動きが画面とシンクロするようになります。

とは言え手書きに慣れた人にとっては微妙な感覚が異なることから、ペンタブレットの導入には不安を覚えるものです。

そんなデジタル初心者がペンタブレットに早く慣れるためには、使いやすい機種を選ぶ必要があります。

直感的に描ける液タブか、導入しやすい価格の板タブか

デジタルでの漫画制作にうまく適応できるかどうかわからないうちは、高価な機種の購入にも慎重にならざるを得ません。

液晶画面に専用ペンで直接描くように入力できる液晶ペンタブレットなら手書きの感覚に近いため、描きやすさという点では圧倒的に有利だと言えます。

板タブとも呼ばれるタイプのペンタブレットはパソコンの画面を見ながら手元の入力装置を操作しなければならないため、慣れないうちはどうしても描きにくいと感じるものです。

とは言え液晶ペンタブレットと板状のペンタブレットでは価格に大きな差があります。

液晶ペンタブレットは最も安い機種でも3万円程度で上位機種は10万円を上回るだけに、値段が高いのは難点です。

板状ペンタブレットはプロ向けの機種でも価格は3万円台で、エントリークラスの中には1万円を切る低価格の機種も少なくありません。

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プロの漫画家にも愛用されているWACOM製品

ペンタブレット市場は老舗メーカーWACOMの独壇場が長く続いていましたが、近年では安価な中国製品も台頭してきています。

とは言えWACOMの製品には長年にわたって培われてきた技術ノウハウが凝縮されているだけに、プロの漫画家やイラストレーターの多くは信頼性の高いWACOMのペンタブレットを使っているのが現状です。

アマチュアを含めて手書きからペンタブレットへの移行を考えている人の場合でも、入門用にどの機種を選んだらいいか迷ったらWACOM製品を選んでおけば間違いありません。

WACOMのペンタブレットにはプロ用の高価な機種から初心者用の安価な機種までラインナップが揃えられています。

その中で初心者から中級者までを対象としたIntuosはWACOM製品の中でも低価格の部類ながら性能は侮れず、コストパフォマンスに優れている点でペンタブレット入門用におすすめです。

中級者までをカバーするWACOMのIntuosシリーズ

ワコム Wacom Intuos Pro Mサイズ ペンタブレット 2017年 ペン入力 板タブ Wacom Pro Pen 2 付属 Windows Mac 対応 PTH-660/K0

WACOMが発売している板状ペンタブレットのうち、Intuos Proは上級者からプロまでを対象とした上位機種です。

Intuos Proは筆圧感知レベルが8192で高精細なイラストにも対応できる反面、価格も下位機種より高めに設定されています。

ペンタブレットの性能を測る基準の1つとしてこの筆圧感知レベルは最も重要な数字ですが、最新のIntuosなら筆圧感知レベルも従来の2048から4096に向上しました。

商業的なクォリティが求められるプロでもない限り、Intuosでも基本性能は十分に満足できる水準です。

Intuosには付属ソフトによってラインナップが異なる旧モデルと、付属ソフトが選べる新モデルがあります。

旧モデルの中ではCLIP STUDIO PAINTというイラスト・漫画制作ソフトが付属するIntuos Comicが一番人気で、漫画を描く人にも多く利用されてきました。

3種類あるIntuos新モデルのうち、ワイヤレスに対応した2機種でもCLIP STUDIO PAINTが選択可能です。

筆圧感知レベルが4096にアップしている点や、Bluetoothによるワイヤレス接続が可能な点に魅力を感じるなら新モデルを購入するメリットがあります。

そうでなければ現在も入手可能な旧モデルのIntuos Comicの方が値段は若干安くなりますので、購入の選択肢に入ってきます。

Intuos付属ソフトのCLIP STUDIO PAINTは漫画制作も効率化

漫画を描くことを目的にペンタブレットを購入する人にとっては、ハード面もさることながらソフト面も重要になってきます。

使用するグラフィックソフトの使い勝手次第で、漫画を描く効率性が大きく左右されてくるのです。

PhotoshopやIllustratorなどのグラフィックソフトを使えば漫画やイラストでも高度な表現が可能になりますが、そうしたソフトは機能が豊富な一方で設定がいろいろと面倒な面もあります。

高機能のグラフィックソフトは価格も高いため、初心者にとっては敷居が高いと感じられてしまうものです。

Intuosを購入すればペイントソフトのCLIP STUDIO PAINTが2年ライセンス版として選択可能になり、旧モデルのIntuos Comicにも同様の2年ライセンス版が付属します。

CLIP STUDIO PAINTは本来イラストを描くためのソフトですが、漫画を描くための機能が豊富で面倒な作業を効率化できるため、プロの漫画家の中にも愛用している人は少なくありません。

CLIP STUDIO PAINTの機能

CLIP STUDIO PAINTは通常のグラフィックソフトの機能をイラストや漫画を描く目的に特化し、ペンタブレットによる描き心地を滑らかにする描画エンジンが使われています。

Photoshopなどと同様に、CLIP STUDIO PAINTでもレイヤーを重ねることで下書きからペン入れ・彩色までの工程を効率化することが可能です。

漫画を描くのに欠かせないスクリーントーンや背景素材なども簡単に貼り付けられ、収録されている無料素材は1万点以上にも達します。

CLIP STUDIO PAINTにはこの他にも効果線の自動作成機能やコマ枠ツール・フキダシ作成機能・テキスト入力機能など、漫画を描くのに役立つ機能が満載です。

上位版のCLIP STUDIO PAINT EXでは複数ページ管理など、漫画制作を効率化する機能が強化されています。

リーズナブルな価格もIntuosの魅力

デジタル環境で漫画を描く人の間ではここ数年でCLIP STUDIO PAINTがスタンダードとされるようになり、「クリスタ」の愛称でも呼ばれてきました。

パッケージ版としても単体で販売されているCLIP STUDIO PAINTを購入する場合はPRO版が約6千円、上位版のEXでは3万円近い価格に達します。

ワイヤレスに対応したIntuos2機種で選択可能なCLIP STUDIO PAINT PROは、旧モデルのIntuos Comicに付属するのと同様にライセンスが2年限定です。

2年の期間が終了した後は機能限定版のCLIP STUDIO PAINT DEBUTにライセンス変更して利用可能ですが、期間終了後もPRO版の機能をフルに使いたい場合は優待価格で製品版を購入できます。

CLIP STUDIO PAINT PROを優待価格で購入した上でEXも優待価格で購入すれば、CLIP STUDIO PAINT EXの製品版を単体で購入するよりお買い得です。

IntuosワイヤレスにはSサイズとMサイズがあって、Mは1万5千円台でSサイズは最安値が1万円弱に下がります。

SサイズはCLIP STUDIO PAINT PROの単体版プラスαの価格で購入できる計算ですが、Sサイズのうち最も安価なSmall ベーシックはCLIP STUDIO PAINTが選択できないので注意が必要です。

Intuos Proとの違い

WacomのIntuosは手書きからデジタルへと移行するのに最適なペンタブレットとは言え、使っているうちにもっと手書きに近い精細さを求めるようになることも考えられます。

そのようなこだわりを持つ人には、プロユースにも耐えるIntuos Proも選択肢の1つです。

上位機種のIntuos ProはIntuosより基本性能が高く筆圧感知レベルも倍の8192段階に達し、それだけペンに加わる微妙な力加減を細かく表現できます。

またIntuosの製品ラインナップはSサイズとMサイズだけですが、Intuos ProはMサイズに加えてLサイズも選べるため大画面の液晶モニタを使った漫画制作も快適です。

ただしntuos ProはCLIP STUDIO PAINTなどの付属ソフトがなく、初めてペンタブレットを購入するには不向きな面もあります。

価格もIntuos ProはMサイズが3万円台、Lサイズは4万円以上で、Intuosより全般として高価格帯に設定されています。

入門用としてIntuosを購入しながらCLIP STUDIO PAINTも同時に入手し、ペンタブレットの使い方に慣れてさらに高い精度を求めるようになったらIntuos Proに移行するのがおすすめです。

まとめ

WacomのIntuosはとりあえずデジタル環境でCLIP STUDIO PAINTによる漫画制作を試してみたいという人に最適なペンタブレットです。

コストパフォマンスに優れたIntuosは初めてペンタブレットを購入する人でも安心して選べます。

海外製のペンタブレットにはもっと低価格の製品も少なくありませんが、漫画制作に役立つソフトが付属するという点でIntuosの優位は動きません。