目に優しくてブルーライトゼロの液晶モニタ!反射型液晶に未来はある?

2017年2月10日液晶モニタ

BenQ モニター ディスプレイ GL2460HM (24インチ/1920x1080(Full HD)/TNパネル)

昨今のデスクワークは、ほとんどがパソコンを使う作業です。

職種によっては、ほぼ1日中画面を見ていることもあるでしょう。

しかし、これは目を酷使し、疲労させます。

目の疲れは肩こりや頭痛など、身体に深刻なダメージを与える危険があります。

このため、「目に優しい」液晶モニタを求める人は決して少なくありません。

そんな人たちから注目を集めているのが、電子ペーパーなどに使われている「反射型液晶」です。

今回はこの反射型液晶について、少しお話しようと思います。

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発光しない液晶モニタ

液晶モニタを暗いところで見ると、結構明るいですよね。

スマートフォンの画面を灯りの代わりに使う人がいますが、そういう使い方ができるぐらい明るいです。

これは液晶モニタの中にある、バックライトの明るさです。

つまり、このような光を、私たちは一日中見続けていることになります。

そして、これが疲れ目の最大の原因です。

一部の高価な液晶モニタには明度を低く設定できるものもありますが、それでも長時間作業すれば、目の負担は避けられません。

しかし、自ら発光しない、バックライトなしで動作する液晶があります。

それが「反射型液晶」です。

電子ペーパーや電子書籍リーダーに採用されている液晶で、自然光を利用して画面を表示します。

紙に書かれた文字を読む状態に近いため、目に優しいとされています。

また、バックライトがありませんので、ブルーライトはゼロですし、消費電力も少なくて済みます。

実際、電子書籍リーダーとして代表的なKindleや楽天Koboのバッテリー駆動時間は、数週間から1か月程度と非常に長いです。

反射型液晶に対し、バックライトで画面を表示するタイプの液晶を「透過型液晶」と言い、現在のパソコン用液晶モニタの主流です。

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反射型液晶の弱点

そんなに目に優しいなら、パソコン用モニタとしてとっくに採用されていそうです。

それが採用されないのは、反射型液晶には弱点があり、多くの課題を抱えているからです。

弱点1:モノクロ表示しかできない

ただし、最近ではカラーも可能になってきています。

例えば、PocketBookというヨーロッパやロシアを中心に電子ペーパー端末を作っているメーカーの「Color Lux」は、カラーの電子ペーパー端末です。

日本にはまだ展開していませんが、そのうちお目にかかれる日がくるかもしれません。

とはいえ、たとえモノクロしか表示できなくても、文書作成など目的をしぼれば結構使えます。

弱点2:屋内で見ずらい

バックライトを使う透過型液晶とは異なり、自然光で画面表示する反射型液晶は、自然光が少ない屋内では見ずらくなります。

半透過型液晶 Pixel Qi

前述のモノクロ表示しかできず、屋内で見ずらいという、2つの弱点をカバーできるものとして、半透過型液晶と呼ばれる液晶モニタがあります。

それが「Pixel Qi(ピクセル・チー)」です。

これは屋外では反射型液晶として動作し、屋内ではバックライトを使って従来の透過型液晶になるというものです。

反射型の時はモノクロですが、透過型に切り替えればカラー表示が可能になります。

バックライトを使うので、屋内でも画面が暗くなりません。

反射型でカラー表示を実現していないので、厳密には反射型ではありません。

さらに残念なことに、画質の悪さや視野角の狭さなどの使い勝手の悪さをクリアできず、最近ではフェードアウトしてしまっています。

弱点3:書き換えスピードが遅い

反射型液晶は画面を書き換えるスピードが遅いため、直前に表示していた画面内容の残像が残る「ゴースト」という現象が起こります。

このため、動画など動きのあるものを表示するのが苦手です。

マウスカーソルの動きも遅くなります。

Paperlike

書き換えスピードの問題を解決しようとする動きはあります。

DASUNGという中国のベンチャー企業が作った「Paperlike」という、パソコン用液晶モニタがそれです。

このPaperlikeでは、独自技術で画面の表示速度と遅延をパソコン用モニタ並みに向上させ、前述の反射型液晶の弱点をカバーしています。

インターネット閲覧や文書作成程度なら、十分な画面表示が可能になっています。

弱点4:価格が高い

反射型液晶を使った商品は、大体販売価格が高いです。

弱点3で例に出したPaperlikeの販売価格は、なんと約13万円。

このPaperlikeは価格を除けば、比較的実用に耐えるものなのですが、残念ながら既に販売終了しています。

Onyxというメーカーの「BooxMAX」という、電子書籍リーダーにAndroidをインストールしたような感じの端末があるのですが、これは79,800円。

こちらはまだ販売中で、国内で入手可能です。

OSなどが入ってなくて、電子ペーパーを使ったデジタルノートとして販売されている端末も、大体高価です。

ソニーの電子ペーパー端末「DPT-S1」は、途中で98,000円から79,000円(税抜)に値下げしましたが、それでも手軽に買える金額ではありません。

「NoteSlate」という端末もあります。

まだ発売されていませんが、26,000円程度と言われており、比較的お手頃です。

ですが、2011年の発表から発売時期が何度も延期されるなど、見通しがかなり不透明なことで知られています。

まだ課題が多い

反射型液晶はこの他にも、視野角の狭さや背景の白がキレイに出ないなど、様々な課題を抱えています。

それでも、電子書籍リーダーでこれだけ目に優しいことがわかっているのですから、パソコン用に開発してみる動きがあっても良さそうなものですが、なかなか難しいようです。

厳しい展望とわずかな希望

弱点を克服できず、出ては消えてしまう反射型液晶ですが、そんな中ジャパンディスプレイ(JDI)が反射型液晶の開発をしています。

当初はウェアラブルや電子値札、サイネージに向けたものが中心のようでしたが、その後32型の反射型カラー液晶が発表されています。

ただ、何故かひっそりと発表されたので、知らない人が多いようです。

JDIの説明会の資料を見ると、反射型液晶の特徴に「目に優しい」と書いてありますので、JDIも利点はわかっていると思われます。

それでもパソコン用モニタの開発があまり進まないのは、採算が取れそうもないのでしょうか。

作ってみても、おそらく販売価格が高くなってしまい、買い手がつかないとなれば、開発がなかなか進まないのかもしれません。

実は反射型液晶自体は、JDI以外にも様々なところが開発していました。

実際、ここ2・3年の間に、前項のところで例にあげたPixel Qiなど、様々な製品が発表されていたのです。

しかし、いずれも弱点を克服できず、決定打に欠けるものでした。

このため、一部のコアなユーザーの間で少し話題になっただけで、それ以上の盛り上がりはなく、その後ジワジワと終息してしまったのです。

それが2017年現在の状況です。

しかし、JDIは反射型液晶の事業で2020年までに1,000億円の売り上げを目標としているそうです。

なので、もしかするとそのうちに安くて使い勝手の良い反射型液晶モニタが、現れるかもしれません。

今、安価に反射型液晶を使うには

現時点で、反射型液晶を使う方法を模索してみます。

1.ポメラを使う

パソコンからは離れてしまいますが、キングジムの「ポメラ」はDM5・DM10・DM20の3機種で、反射型液晶を採用しています。

テキスト入力のみの作業であれば、ポメラでも十分にこなせます。

いずれも既に生産終了品なので、中古で探すしかないのがネックです。

2.Kindleをパソコン用セカンドモニタとして使う

Kindleは反射型液晶の代表選手です。

これにパソコンの画面を表示させれば、確実に目に優しくなります。

一番安いモデルなら、1万円以下とお手頃価格なのもうれしいところ。

しかし、パソコンで使えるようにするには設定方法が複雑で、ある程度パソコンの知識がないと厳しいと思います。

設定方法は、以下のページで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

https://qiita.com/AaronWilliamHawkins/items/da0255ecd93951ba735d

Kindleは電子書籍のリーダーですので、パソコン用モニタとして必要な表示速度がありませんし、ゴーストと呼ばれる残像も出ます。

ですので、本当にテキスト中心の作業に特化して使うと良いと思います。

まとめ

液晶モニタは以前に比べて、手軽な価格になりました。

確かに安い方が買い手にとってはありがたいです。

しかし、その安いモニタを使うことによって目が疲れ、その結果ブルーライトカットの眼鏡など、アイケア用品を買いそろえることに多くの金額を費やすことになるのは、かえって損をしているような気がします。

今のところ、反射型液晶は厳しい状況ですが、いつか手頃な値段で、なおかつアイケアの必要もなく、快適に作業ができる液晶モニタが現れることを願わずにはいられません。






2017年2月10日液晶モニタ