Illustratorでのデータ作成中に行う保存のタイミングは非常に重要
Illustratorでは昔から1つ前の状態に戻すことができるので、試行錯誤しながら図案を完成して行くのに便利なアプリケーションです。
それでも作成中の図案を保存せずに次の作業に移れば、1つトラブルがあるだけでそれまでの努力が水の泡になる場合があります。
例えばプリンターで出力しようとしたタイミングで使用しているパーソナルコンピュータが不具合を起こしてしまえば、パーソナルコンピュータを再起動するしかなくなる場合があります。
その時に残っている図案データは基本的に前回保存したところまでしかハードディスクにありません。
それでも作業を遅らせないために、図案の一部でも決めたら保存することが非常に重要なのです。
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目次
中身のデータ作成を始める前に保存すべきこと
ページ冊子の図案を作成する場合に注意すべきこと
Illustratorではデータ作成する前に台紙の大きさや塗り足しの有無などいくつもの決まり事に沿ったページを作ってから作業する必要があります。
本のページになる図案を作成する前に横方向のページの大きさと必要な塗り足しを確認して台紙を作成する必要があります。
例えば、B5の雑誌であればB5サイズに標準の塗り足しだけを加えた台紙で良いとは限りません。
中とじの雑誌では外側のページと内側のページの大きさは冊子の厚みが厚いほど大きく違います。
通常の塗り足しは天地左右とも3ミリだから本の大きさに天地左右とも3ミリ足してデータを作成すると外側のページでは寸足らずになる危険があるのです。
定期的に発行されている雑誌やパンフレットならば実際に印刷されている前回見本を測れば必要な大きさがわかります。
初めてつくる本でも見本になる本を選んでそれに沿った大きさでつくるのが無難です。
それができない場合には掴み本と呼ばれる見本を作って紙質や大きさや製本方法などを予め確認する方が無難です。
それが予算や日程の関係で無理な場合には予めわかっている用紙や製本方法を選び、それに応じて各台紙を決めてから作業を開始すべきです。
変形折りリーフの図案を作成する場合に注意すべきこと
変形折りリーフとはズラし折りや巻き折りやジャバラ折りなど、特殊な折り加工を加えて完成するリーフのことです。
それらも中身を制作する前に台紙となるデータをきちんと決めて作業を始める必要があります。
例えば巻き折りの場合には内側の面が3ミリ小さくなければ折れないのが一般的です。
少部数の場合には特別に製本会社に依頼して外面と中面の差を2ミリで折ってもらえる場合もありますが、それは例外ですし紙質によっては少部数でさえ不可能な場合もあるので予め折り位置まで決めて図案作成に入るべきです。
なぜなら折り位置が変われば図案に大きく影響するからです。
製品加工が不可能な位置で図案を確定させてしますと、クライアントに了解を得た図案に制作者都合で変更を加える必要が生じたり、納期が間に合わなくなったりしてしまいます。
できれば提案している紙を実際に折って見本を作り、製本会社の了解を得てから作業に入るのが無難です。
そうでなければ実績のある寸法で作業すべきです。
ウチワを例に変形の図案を作成する場合に注意すべきこと
例えばウチワをデザインする場合にはウチワの大きさと塗り足しの大きさを正確にイラストレータのデータ上で再現してからデータ作成する必要があります。
ウチワの大きさを正確に知るには、実物を測るかウチワ製作側から制作用の雛形となるデータを取り寄せるかする必要があります。
おすすめは同寸同種の実物見本があって制作の雛形データも存在する製作側の指示に従うことです。
これ無しに漠然とウチワの形を想定して提案用のデータを作り、その提案用データに部分修正を加えて図案が確定したりしてしまうとウチワ製作側に渡す直前にデータの大きさを変更する必要が生じます。
こんな段階で縦横比やカーブの大きさなどが変わると図案自体の見栄えが変わってしまうので二度手間になるばかりかクライアントとウチワ製作側と両方の信頼を失いかねません。
ですから事前に、出来上がりの大きさを正確に台紙として作っておくことが重要なのです。
この場合にウチワの形も種類も提案できるなら、できるだけ種類も大きさも絞って提案し先に決めてもらってから中身の制作を進めて行くべきです。
大元となる寸法が変わると全ての作業に手を加え直す必要が生じる可能性があるからです。
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大まかな図案ができた段階で保存すべきこと
クライアントとの打合せでいただいた材料と営業の提案を踏まえて大まかな図案を作成します。
この時に採用とならなくても制作側として復活する可能性があると考えれば、別の媒体にそちらの図案は保存すべきです。
もちろん作業の流れの中で採用とならなければ捨てるデータになるのですが、急いで別案を出して欲しいとクライアントから求められた時などに、初期の別案を保存しておけば代案として提案できます。
ただし、本筋の提案と絶対に混同させない為に別の媒体に保存して切り離しておくべきです。
中途半端に別のデータが同じハードディスクに混在していると間違いの元になることが良くあるからです。
同じ名前での保存も管理上止めるべきです。
制作者が方向性を決めた段階で保存すべきこと
制作している人が図案を決めた段階では何処に出す何のデータか分かるように保存すべきです。
独りの制作者が初めから終わりまで通して作業できれば良いのですが、急病など何事か不測の事態になっても制作が遅れることは許されません。
予め制作側と営業との間で決めたルールに従って誰でも分かるフォルダやファイル名で図案データとその図案に配置されている全ての材料のデータをまとめて保存すべきです。
身内で方向性を決めた段階で保存すべきこと
ここで云う身内とは制作側のスタッフを指します。
共同制作者がいれば制作者同士で方向性を決めた段階では、共同作業者との間で齟齬がないか確認します。
例えば連続するページの制作物で共通する材料データの保存はどのフォルダに置くかなどもこの時までには確実に決めておく必要があります。
例えば同一の写真データから大きさを変えて遣う場合にイラストレータ上で縮小するだけでは見栄えが良く無いので、フォトショップで縮小後に輪郭強調をかけて遣う場合には縮小前後で色合いが変わると違和感がでてしまいます。
そんな時にどこにあるデータを誰が加工し、どう使用するかも含めた確認の上で保存すべきです。
クライアントに提案する段階で保存すべきこと
クライアントに提案するデータをプリントする前には必ず保存する必要があります。
パーソナルコンピュータの環境にもよりますが、プリントデータを送り出す時に不具合が起きる確率は高く、プリントはできたけれどデータ保存ができなかったという事例が起こりうるからです。
そうなってしまえば出力できたプリントを再現するデータが存在しないのでプリントも捨てるしか無くなります。
必ず、プリントする前に保存する習慣を身につける事は常識ですが、特にクライアントに提案する直前のデータではそれを厳格に守る必要があります。
クライアントからの修正を加えた段階で保存すべきこと
クライアントから修正指示を受けたら、その個所だけ修正して保存しプリントして修正指示通りになっているか確認します。
これを疎かにすると訂正漏れという初歩的な大失敗の元に成るので要注意です。
また、この時点で修正前のデータが同じハードディスクにない状態にしておく事も大切です。
2案出して片方だけ修正して進める場合にもう一方のデータは同一のハードディスクから消しておかなければなりません。
最終案が決まった段階で保存すべきこと
最終案が決まる前に印刷するデータの製版上の処理を後工程と相談して、スムーズに作業できることを確認しておきます。
黒バックの部分を墨ベタのまま使うのか、制作側でシアンの網を足すのか製版で足すかのなど工程と責任分担を確認して保存します。
納品直前に保存すべきこと
製品の他に制作データも納品して欲しいというクライアントが増えています。
その場合に写真データに加工して渡すのか、PDFで文字生きで渡すのか、文字アウトライン化して渡すのか、塗り足し部分のデータは切り取って渡すのかなどを調整して保存します。
まとめ
Illustratorでは色々なデータを自在に制作できます。
だからこそ後の作業を考えてスムーズに動かせるようなデータを作らないと二度手間が増えるのです。
定期的に部分修正だけで済む仕事以外は常に後の工程との間で問題なく進められるように作業する必要があります。
また複数の制作者が並行して作業しても混乱しないデータ管理を最初から心掛けるべきです。